数え方(読み方)・単位
一本(いっぽん)、一管(いっかん)
解説
広くタバコについて、タバコの小売単位は「箱」「缶」「カートン」など。吸殻は「本」、灰皿は「個」「枚」で数えます。タバコの灰を、土ぼこりを表す「塵 (じん) 」で数えることがあります。パイプは「本」、キセル(煙管)は「管 (かん) 」で数えます。
⇒タバコ(tabaco)
意味
①管の一端に刻みタバコをつめて火をつけ、他端の吸口からその煙を吸う道具。両端が金属、途中が竹でできている物が多い。タバコをつめる口を火皿、火皿のついた湾曲している部分全体を雁首(がんくび)、雁首と吸口の中間の管を羅宇(ラウ)と呼ぶ。キセリ。キセロ。キセル筒。
*梅津政景日記‐慶長一七年〔1612〕四月二六日「院内にてきせるをかい、ふききせるの様にいたし」
*俳諧・当流籠抜〔1678〕「塵紙の文こしかたの雲〈鬼貫〉 月はむかし背炉(キセル)の掃除もなってこそ〈宗旦〉」
*浄瑠璃・百合若大臣野守鏡〔1711頃〕二「きせるくはへてふところ手、身をのさばって立ちゐたり」
*書言字考節用集〔1717〕七「希施婁 キセル 蛮語」
*人情本・春色梅児誉美〔1832〜33〕初・五齣「米八が膝を喜世留でつつく」
*当世書生気質〔1885〜86〕〈坪内逍遙〉一八「煙管(キセル)をとりいだして煙艸(たばこ)を含ませ」
*臍繰物語〔1938〕〈渋川驍〉「長火鉢の前にキセルを持って坐ったが」
②昔、芝居で喫煙用の火縄を売った者。火縄売。
*劇場新話〔1804〜09頃〕上「半畳火縄売りは揚幕の際に片寄居る。火縄の数にて見物人の入高を量る。一名きせるといふ」
③(銀煙管に似ているところから)「とかげ(蜥蜴)」の異名。
*雑俳・柳多留‐七八〔1823〕「太いきせるだぶちころせぶちころせ」
④(「先とあとに金がある」というところから)選挙での買収方法の一つ。投票前と後の二回に分けて有権者に金を渡すこと。
*モダン語辞典〔1930〕〈鵜沼直〉「煙管(キセル) 選挙買収等で、契約の時に前金投票後に後金を支払ふ方法や、兎も角、両方が金属で中間が竹のところから、烟管乗りと云って、電車、汽車等で前半一部と後半一部の切符のみ買って通して乗る方法など、余り香しからぬものにこの名を付けた」
⑤(「キセルのり(─乗)」の略。キセルの雁首と吸口だけに金(料金)がついているところから)鉄道などの不正乗車の一つ。乗車駅付近と降車駅付近の乗車券だけを持ち、途中の区間の運賃を支払わないこと。
語源
①は日本に慶長(一五九六〜一六一五)頃に伝来したとされるが、以降、慶長初期に流行した火皿の大きな河骨型(こうぼねがた)と呼ばれるもの、元和・寛永(一六一五〜四四)頃に遊侠の徒が護身用に用いた鉄製の長い「喧嘩煙管」など、時代によりさまざまな形のものがある。「俳諧・毛吹草‐四」には、近江水口、肥後隈本などの名産としてキセルが挙げられており、近世初期にはかなり普及していたことが知られる。

