数え方(読み方)・単位
一個(いっこ)
解説
祝い事や式典などで割る薬玉は「個」で数えます。
意味
①五月五日の端午の節供に、邪気を払い、不浄を避けるものとして柱や簾(すだれ)にかけたもの。麝香(じゃこう)、沈香(じんこう)、丁子(ちょうじ)などの香料を錦の袋に入れ、円形にして糸や造花で飾り、菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)をあしらい、五色の糸を長く垂らしたもの。長命縷。続命縷(しょくめいる)。くすりのたま。《季・夏》
*続日本後紀‐嘉祥二年〔849〕五月五日「宣詔曰。〈略〉五月五日に薬玉(くすだま)を佩きて酒を飲む人は、命長く福在りとなも聞こし食す」
*宇津保物語〔970〜999頃〕祭の使「廿人の童をいだして、興あるくすたまを給ふ」
*枕草子〔10C終〕三九・節は五月にしく月はなし「中宮などには縫殿より御くす玉とて、色々の糸を組み下げて参らせたれば御帳立てたる母屋の柱に左右に付けたり」
*徒然草〔1331頃〕一三八「御帳にかかれるくす玉も、九月九日、菊に取りかへらるるといへば、菖蒲(さうぶ)は菊の折までもあるべきにこそ」
*俳諧・初心もと柏〔1717〕「端午 薬玉(クスだま)や灯の花のゆらぐまで 夜陰にうつるを云。くす玉は造り花にて、玉簾に結びて、其一日のかざりなり。花と花との争ひを」
②数珠(じゅず)玉(2)の実。
*玉塵抄〔1563〕二四「馬援が南方の交趾国えいくさの大将して立て帰りに苡のくす玉を車にのせてきたぞ。それを人が南方から玉や犀の角をとってきたと云たぞ。苡はここらにくす玉と云者なり」
③式典や七夕(たなばた)の飾りなど、(1)に似せてつくったもの。式典用のものは、中心から左右に割れて、中から垂れ幕や紙吹雪などが出てきたりする。
*風俗画報‐五二号〔1893〕人事門「灌仏会には〈略〉延命袋、薬玉(クスダマ)の類を出品し」
*銀の匙〔1913〜15〕〈中勘助〉前・二八「緋と水色の縮緬でこしらへた薬玉(クスダマ)の簪」
*百鬼園随筆〔1933〕〈内田百〉進水式「軍艦の胴体を繋ぎ止めた最後の綱の端が、〈略〉黄金の槌を以って打ち断たれたのである。大きな薬玉(クスダマ)が割れて、鳩の群が出鱈目の方角に乱れ飛んだ」

