ところ【所】

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数え方(読み方)・単位

一箇所 (いっかしょ) 、一つ(ひとつ)、一所 (ひとところ)

解説

「所」は地位や場所を表す語です。また、古くは直接指し示すのが恐れ多い、神仏や貴人を数えた語です。

意味

場所。ある人や物事が存在したり、行なわれたりする空間的な位置をいう。
 
①その場所、部分。
*古事記〔712〕上「吾が身は成り成りて成り合はざる処一処あり」
*万葉集〔8C後〕一九・四二八八「河洲にも雪は降れれし宮の内に千鳥鳴くらし居む等己呂(トコロ)無み〈大伴家持〉」
*竹取物語〔9C末〜10C初〕「いざかぐや姫、きたなき所にいかでか久しくおはせん」
*東大寺本大般涅槃経平安後期点〔1050頃〕七「其の地(トコロ)に当に是の薬有りと知りぬ」
*徒然草〔1331頃〕一〇九「あやまちはやすき所に成りて」
*風流仏〔1889〕〈幸田露伴〉六・中「其は額に黒痣(ほくろ)ありてそのところに白毫(びゃくがう)を付けなばと考へし也」
*かくれんぼ〔1891〕〈斎藤緑雨〉「天気予報の『所(トコロ)に依り雨』」
 
②住んでいる場所。住所、居所。また、そのあたり一帯。現在では「所番地」の意でも用いられる。
*山家集〔12C後〕下「山深み榾(ほた)伐るなりと聞こえつつところにぎはふ斧の音かな」
*浄瑠璃・冥途の飛脚〔1711頃〕下「大分人の金を誤り、挙句に所を走って此の在所まで詮議の最中」
*別れた妻に送る手紙〔1910〕〈近松秋江〉「住所(トコロ)はちゃんと憶えてゐます」
 
③(人を表わす語を含む連体修飾語を受けて)その人、その人の家、またはその人に関することを遠まわしに表現する。
*源氏物語〔1001〜14頃〕帚木「式部が所にぞ気色(けしき)ある事はあらむ」
*春〔1908〕〈島崎藤村〉五〇「軈(やが)て、その恩人の許(トコロ)へ帰る日が来た」
 
④中世以後、地方の都市的空間。特定の区画化された町場的集落地や人々の集住地。また、そこに居住する人々の共同体。
*菅浦文書‐貞和二年〔1346〕九月・菅浦荘惣村置文「このむねをそむかんともからにおいては、そうのしゅんしをととめらるへく候。よんてところのおきふみの状如件」
*本福寺跡書〔1560頃〕大宮参詣に道幸〈略〉夢相之事「国・所に御一家の御坊御座なき大坊主の太きなるはたらきをけなりがること、言語くせ事のこころえにて候なり」
 
⑤その者の所有している区域。所領。領地、荘園などをさしていう。
*今鏡〔1170〕六・旅寝のとこ「家正といふが、親の譲りたるところをとり給ひけるを、辛く思ひけるほどに」
*太平記〔14C後〕一・後醍醐天皇御治世事「必ずしも武家より公家を、蔑(ないがしろ)にし奉るとしもは無けれども、所には地頭強うして、領家は弱く」
 
⑥都を離れたいなか、在所のあたり。地方、いなか。また、「所の…」の形で、その地方に所属する意を表わす。
*増鏡〔1368〜76頃〕一一・さしぐし「そこらの武士ども並みゐたるけしき、さまかはりて好ましううけばりたる、心ちよげに、所につけては又なく見えたり」
*謡曲・求塚〔1384頃〕「かの人を待ちて所の名所をも尋ねばやと思ひ候」
*虎明本狂言・老武者〔室町末〜近世初〕「所のとしよりと見えたが、むりな事をいふ人じゃ」
*浮世草子・西鶴織留〔1694〕四・二「此の目ぐすり大分に売れけると所よりいひはやらかし」
*浄瑠璃・仮名手本忠臣蔵〔1748〕六「めっぽう彌八、種が島の六、狸(たぬき)の角兵衛、所の狩人(かりうど)三人連れ」
*葬列〔1906〕〈石川啄木〉「嘗ては『眠れる都会』などと時々土地(トコロ)の新聞に罵しられた盛岡も」
*三四郎〔1908〕〈夏目漱石〉六「赤酒といふのは、所(トコロ)で出来る下等な酒である」

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