数え方(読み方)・単位
一頭(いっという)、一匹(いっぴき)
解説
広く動物について、鳥類を除く動物一般は「匹」で数えます。ただし、その中でも人間が抱きかかえられない大きさのものや、人間にとって希少価値の高いもの、実験動物や盲導犬のように人間の役に立つものは「頭」で数える傾向があります。学術論文などで研究対象となる動物は、種類に関係なく「個体」で数えます。
⇒動物(どうぶつ)
意味
①イヌ科の哺乳類。大きさは大型のイヌくらい。耳は立ち、尾は長く、ふさふさした毛がある。体毛は灰茶色、時に白色、黒色。群れをなし、大形のシカなどを食べるほか、冬には家畜を襲うこともある。平原や林の岩場などにすみ、ほえ声は遠くまで響く。ヨーロッパ、アジア、北アメリカに分布。タイリクオオカミ、マダラオオカミ、シロオオカミなどともいう。三二亜種があり、日本にはニホンオオカミ、エゾオオカミの二亜種がいたが明治時代に絶滅したとされている。おおくちのまがみ。やまいぬ。おおかめ。学名はCanis lupus 《季・冬》
昔から、「山神の使い」として敬われ、埼玉県三峰神社、静岡県山住神社など各地の神社に像があり、「御犬」と呼ばれる姿を描いた守札が出されている。この守札を門口に貼っておくと、盗難・災難よけになり、田畑に竹などに差しておくと鳥獣が荒さないという。なお、中世から「おおかめ」と呼ばれることも多かった。
*日本書紀〔720〕雄略五年二月(前田本訓)「陛下譬へば豺狼(オホカミ)に異(け)なること無し」
*小川本願経四分律平安初期点〔810頃〕「虎の皮、豹(大カミ)の皮、狙の皮」
*源氏物語〔1001〜14頃〕須磨「いりがたの月いと明(あか)きに、いとどなまめかしう清らにて、物おぼいたるさま、とら、おほかみだになきぬべし」
*古本説話集〔1130頃か〕五三「いぬゐのすみのあばれたるに、おほかみに追はれたる鹿(しし)、入り来て倒れて死ぬ」
*名語記〔1275〕九「おほかみ、如何。犲狼也。山犬といふこれ也。おほは大也。かみは神也。これをば山神と号する也」
*俳諧・芭蕉庵小文庫〔1696〕冬「狼の声そろふなり雪のくれ〈丈草〉」
②(「狼に衣」のことわざから)うわべはやさしくよそおっていて実は凶悪な人。特に、破戒僧の異称。
*雑俳・川傍柳〔1780〜83〕三「衣着た狼女ばかりくひ」
*雑俳・柳多留拾遺〔1801〕巻一四上「舟宿へ来て狼も医者に化」
③「おくりおおかみ(送狼)」の略。
*雑俳・柳多留拾遺〔1801〕巻一四上「狼が送れば狸先へたち」