おうぎ【扇】

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数え方(読み方)・単位

一本(いっぽん)、一枚 (いちまい) 、一柄 (ひとがら) 、一柄 (いっぺい)

解説

扇は閉じると「本」、広げると「枚」で数えます。雅語的に「柄 (から) 」「柄 (へい) 」で数えることもあります。古くは「面」「把 (わ) 」「握 (あく) 」などでも数えました。
⇒団扇 (うちわ)
⇒扇子 (せんす)

意味

(動詞「あおぐ(扇)」の連用形の名詞化)
 
①手に持って振り、風を送る道具。機能的にはあおいで涼をとるものと、悪気やけがれを祓うための祭事、祝儀用のものとに分けられる。形状から、摺りたためない団扇(うちわ)と摺りたためる扇子(せんす)とに大別され、一般には後者をさすことが多い。扇子は材質によって檜、杉などの五枚から八枚の薄板を根元の要(かなめ)で綴じ合わせる板扇の類と、竹、鉄などの数本の骨に紙、絹布などを張った紙扇子、蝙蝠(かわほり)の類とに分けられ、それぞれ、冬扇、夏扇ともよばれる。これらの扇は平安前期の日本で創案されたものと考えられるが、その後使用目的と使用者の社会的地位などが反映して種々の工夫がこらされた。扇面に図柄や和歌が書きこまれて鑑賞の対象とされたり、神仏へ献上されたりすることがあり、蘇芳染め、香染めがなされ、身分を明示するために、白骨、黒骨など骨の材質が区別され、あるいは丸骨、平骨、彫骨などに装飾的工夫がこらされた。また、浮折り、中啓(ちゅうけい)、沈折(しずおり)、雪洞(ぼんぼり)など、地紙の折り方によって扇の形を変えて場と用途に応じてそれぞれに使い分けた。すえひろ。せんす。《季・夏》
 
*十巻本和名類聚抄〔934頃〕六「扇 四声字苑云扇〈式戦反 玉篇作〓在竹部 阿布〓〉所以取風也」
*枕草子〔10C終〕二八五・扇の骨は「あふぎの骨は朴(ほほ)。色は赤き。むらさき。みどり」
*源氏物語〔1001〜14頃〕夕顔「をかしきさまなる櫛、あふぎ多くして、〈略〉かの小袿(こうちき)もつかはす」
*俳諧・誹諧之連歌(飛梅千句)〔1540〕竹何第五「絵あはせは十二のほねのあふぎ哉 ほたるともし火かきもかきたて」
 
②「うちわ(団扇)」に同じ。
*万葉集〔8C後〕九・一六八二「とこしへに夏冬行けや裘(かはごろも)扇(あふぎ)放たぬ山に住む人〈人麻呂歌集〉」
 
③江戸時代、年玉用に、竹切れに紙をはさんで、(1)の形に作ったもの。正月の縁起物の一つ。
*浮世草子・好色一代男〔1682〕三・四「『扇(アフギ)は扇は』『おゑびす、若ゑびす若ゑびす』と売声(うるこゑ)に、すこし春のここちして、日のはじめ静(しづか)にゆたかに」
*雑俳・柳多留‐一四〔1779〕「つねやるとあいそづかしな扇也」
 
④大根などを(1)の形に切ったもの。おうぎがた。
*月山〔1974〕〈森敦〉「味噌汁はやはりおなじ大根でも、千本にも、賽ノ目にも、扇にも切ってありません」
  
⑤紋所の名。(1)をかたどったもの。秋田扇、浅野扇、違い扇、扇菱、日の丸扇、檜扇など、いろいろの種類がある。

語源

①②の挙例「万葉‐九・一六八二」の「扇」は、中国式の団扇(うちわ)を意味する。日本固有の扇子が現われるのは九世紀以降であり、「十巻本和名抄」では扇と団扇(うちわ)を区別する。
 
②起源としては、(イ)上代、神功皇后の朝鮮出征のときに蝙蝠(こうもり)を見てその羽の形にならったとする説、(ロ)朝廷で用いられた笏(こつ)、簡(かん)、射干(うばたま)の混合とみる説、(ハ)南方産のビロウ(檳〓)の葉が、暑さをはらうための実用扇、祭儀用の呪物扇として古代日本で用いられていたが、やがて日本産の材料を使ってビロウを模した檜扇と紙の長方扇がつくられ、それらを祖型に、その長所を合わせた平安時代の「かわほり」の祖にあたる紙の扇子がつくられた、とみる説などがある。

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