数え方(読み方)・単位
一枚 (いちまい) 、一反 (いったん)
解説
助数詞・単位の「反 (たん) 」は(専門的に)船の帆を数える語です。
意味
①風力を利用して船を走らせるための船具。帆桁(ほげた)によって横に展張し、帆柱を使って高くはり揚げる。古代より中世末期までは筵帆を用い、近世以降は木綿帆を主用したが、木綿帆には刺(さし)帆と松右衛門帆と呼ばれる織帆の二種があり、近世末期では丈夫な後者が重用された。木綿帆は二尺五寸(約七六センチメートル)から三尺(九一センチメートル)程度の幅で作られ、これを長さに無関係に一反とし、帆の大きさに応じて横につなぎ、その反数で何反帆と呼び、船の大きさをあらわす。幕末期から明治・大正期にかけて使われた西洋型帆船の場合は枚数が多く、横帆と縦帆を組み合わせるのを通例とした。
*万葉集〔8C後〕七・一一八二「海人小船帆かも張れると見るまでに鞆の浦みに浪立てり見ゆ〈作者未詳〉」
*十巻本和名類聚抄〔934頃〕三「帆 四声字宛云帆〈音凡一音泛 保〉風衣也一云船上掛檣上取風進船幔也」
*土左日記〔935頃〕承平五年一月二六日「このあいだに風のよければ、かぢとりいたく誇りて、舟にほあげなど喜ぶ」
*日葡辞書〔1603〜04〕「Fouo (ホヲ) アグル、または、カクル、または、ヒク。〈略〉Fouo (ホヲ) ヲロス、または、サグル」
*今西氏家舶縄墨私記〔1813〕坤「帆大船は三十五、六反引、壱反と云は木綿幅三反をよせたる也」
②紋所の名。(1)を図案化したもの。霞に帆、丸に帆、五つ帆などがある。