ほうしょ【奉書】

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数え方(読み方)・単位

一枚(いちまい)、一通(いっつう)

解説

主人の意を受けて従者が下達する文書のことで、用紙は「枚」、通達する文書としては「通」で数えます。

意味

①古文書の様式の一つ。広く主人の意をうけて従者がみずからの名を署して出す文書をいう。ふつう、本文書留に「依仰、執達如件」「綸旨如此」のように上位者の意をうけたまわって出す文書であることを明らかにする文言があり、また、日付の下に書かれる名目上の差出人である奉者の位署の右下に「奉」の字を小さく書き加えてあることが多い。命令を下す上位者の地位・身分によって、奉書は綸旨(天皇の奉書)・院宣(上皇)・令旨(りょうじ=親王など)・御教書(三位以上)と特別の呼び方をする。
 
本来、書状と同様の私的な文書として発生したが、上位者の政治的な地位によって内容が公的になる場合は公文書の性質を帯びるようになり、公文書としての側面が分化し固定していった。綸旨・院宣・御教書などの奉書は上位者の名をとって関白家御教書のように呼ばれるが、その他の場合は奉者の名によって、大江広元奉書・幕府奉行人奉書のように呼ばれる。後には、文書の一種の美称となり、正しくは直書(じきしょ)である室町将軍の「御判御教書(ごはんのみぎょうしょ)」もその名でよばれた。また、寺院などの文書にも奉書形式にとらわれないものが多い。
 
*明月記‐文治四年〔1188〕四月二四日「入夜権尚書奉書云」
*源平盛衰記〔14C前〕八・法皇三井灌頂事「権大納言隆季卿の奉書にて、院宣を被下云く」
*太平記〔14C後〕三九・神木入洛事「公家の勅裁はなれ共人不用、武家の奉(ホウ)書は憚て渡す人なし」
*御湯殿上日記‐文明九年〔1477〕九月三〇日「たうこくのち行ともにつきて、はんしゆたちほう所の事、むろまちとのへ御申あるへきよし申さるる」
*幸若・しつか〔室町末〜近世初〕「かたしけなくも北のだい奉書を下し給ふ」
*徳川禁令考‐前集・第二・巻一四・寛永一一年〔1634〕三月「一同奉書判形之事」
 
②「ほうしょがみ(奉書紙)」の略。
*仮名草子・尤双紙〔1632〕上・三二「しろき物のしなじな〈略〉加賀の奉書(ホウショ)」
*浮世草子・好色一代女〔1686〕二・一「お硯の墨すりて、奉書取てあてがひけるに」
*雑俳・口よせ草〔1736〕「人は今に奉書にかきたがり」
*随筆・孔雀楼筆記〔1768〕二「婚嫁その外式正の書状は、奉書(ホウしょ)にても杉原にても、全紙にたて文にてかく」

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