数え方(読み方)・単位
①一枚 (いちまい) 、一葉 (いちよう) 、一本(いっぽん)、一ロール(いちろーる・わんろーる・ひとろーる)、一巻き (ひとまき)、一片 (ひひとら) 、一束 (ひとたば)
②一帖 (いちじょう) 、一締め (ひとしめ)、一連 (いちれん) 、一丸 (ひとまる)
解説
①「葉 (よう) 」は葉 (は) のように手に取ることができる程度の大きさで、折りたたまれていない紙を数える語です。FAX紙のようなひと巻きの紙は「本」「ロール」「巻き」で数えます。「片」はメモ用紙や紙切れ、紙吹雪などを数える語です。束ねたものは「束」で数えます。
②小売単位は「帖」を用います。半紙20枚、美濃紙 (みのがみ) は48枚で「1帖」です。和紙2000枚を「ひと締め」、洋紙1000枚を「1連」といいます。「丸」は、和紙の取引単位です。
意味
①植物繊維を水中でからみ合わせ、薄くすきあげて乾燥したもの。大別して手すき紙(和紙)、機械ずき紙の二種とする。手すき紙は一〇五年中国後漢の蔡倫がその製法を大成したといわれる。わが国へは高句麗を経て六一〇年に製法が伝えられ、その後種々改良が施されて現在の和紙となり、最も丈夫で美術的な紙として知られている。機械ずき紙は一七九八年フランス人が初めて造ることに成功したが、普通、洋紙と板紙とに分けられる。洋紙は印刷術の発達と相まって改良され、板紙にはボール紙だけでなく段ボールなども含まれる。また、石油を原料とする紙酷似品もある。
*日本書紀〔720〕推古一八年三月「高麗(こま)の王(きし)、僧曇徴・法定を貢上(たてまつ)る。曇徴は五経を知れり。且(また)能(よ)く彩色及び紙(かみ)墨を作り、并(あはせ)て碾磑(みづうす)造る」
*竹取物語〔9C末〜10C初〕「人にかみをもたせてくるしき心ちにからうしてかき給ふ」
*十巻本和名類聚抄〔934頃〕五「紙 兼名苑注云紙〈古文作〓帋 賀美 紙有〓色紙・檀紙・穀紙・紙屋紙・松紙・河苔紙・斐紙・薄紙用〓名〓〉後漢和帝時蔡倫所造也」
*説経節・さんせう太夫(与七郎正本)〔1640頃〕中「めんざうよりも、かみを一でうとりいだし、十二ほんの御へいきって、ごまのだんにたてられたは、ただせいもんではなふて、大夫をちゃうぶくするとぞみへたりけり」
*随筆・独寝〔1724頃〕下・一三六「紙・筆・すみ・水とよつがよふ揃はねば、物よふかかれぬ事也」
②じゃんけんで、指を全部ひらくこと。ぱあ。
*明治大正見聞史〔1926〕〈生方敏郎〉憲法発布と日清戦争・一「ちいりこ(東京のジャンケン)できめ、ちいりこさいよ。合こでさいよ。と手を振り鋏や石や風呂敷(東京の児童のいふ紙)の形を出して決める」
③「かみばな(紙花)(2)」の略。
*雑俳・川傍柳〔1780〜83〕四「もしへ紙を一枚おくんなんしょ」
*雑俳・柳多留‐四六〔1808〕「とんた所こ紙壱まひが壱分なり」
④紙入れ、財布のこと。
*江戸繁昌記〔1832〜36〕五・千住「且つ其の隠語、紙を〓志と曰ひ〈略〉按に〓志とは、〓志発沙夢(さしはさむ)の略。之を懐抱に夾めばなり」
⑤紙幣をいう、盗人仲間の隠語。〔特殊語百科辞典{1931}〕
語源
①字を書くのに用いられた竹のふだをいうカヌ(簡)の字音の転〔東雅・国語学通論=金沢庄三郎・大言海・国語学論考=金田一京助〕。
②高麗の方言からか。あるいはカウゾ(楮)を原料にして造ったので、その樹名からか〔東雅〕。
③漉種を兼ね合わせて編みすいたというところから、カネアミ(兼編)の略〔紙魚室雑記〕。
④カキミル(書見)の略〔和句解・日本釈名・名言通・和訓栞・言葉の根しらべ=鈴江潔子〕。
⑤カミ(蛟咀)て造るところから〔和句解〕。
⑥コウゾの木の皮の間にある皮をいうカハミ(皮身)の義〔関秘録〕。
⑦カチ(楮)の義〔言元梯〕。
⑧カハマシ(皮増)の反〔名語記〕。
⑨白色で清らかであるところから、カミ(神)の義〔和語私臆鈔・梅の塵〕。