かお【顔/貌】

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数え方(読み方)・単位

一面(いちめん)、一つ(ひとつ)

解説

「彼には昼間と夜とで2つの顔があった」のように、たとえていう場合は「つ」を用います。

意味

①目、口、鼻などのある、頭部の前面。つら。おもて。
*伊勢物語〔10C前〕九九「女のかほの下簾(したすだれ)よりほのかに見えければ」
*讃岐典侍日記〔1108頃〕上「顔に手をまきらはしながら」
*名語記〔1275〕五「かほなどをのごふべき物にやとおぼゆ」
 
②(比喩的に用いて)物の表面。また、一部分だけが外に見えているもの。→顔を出す。
*新井本竹取〔9C末〜10C初〕「ある人の『月のかほ見るは忌むこと』と制しけれども」
*源氏物語〔1001〜14頃〕須磨「月のかほのみまもられ給ふ」
*善財〔1949〕〈石川淳〉一「船のすすむにしたがって、芝浦の灯はしだいに明るく、空に映えて、そこに東京の顔が茫と大きくうかみ出た」
 
③①の状態、様子。
 
(イ)かおかたち。かおだち。容貌。
*万葉集〔8C後〕一四・三四一一「多胡(たご)の嶺に寄せ綱延(は)へて寄すれどもあにくやしづしその可抱(カホ)良きに〈東歌・上野〉」
*源氏物語〔1001〜14頃〕乙女「かほのいとよかりしかば、すずろにこそ恋しけれ」
 
(ロ)表情。顔つき。顔いろ。
*竹取物語〔9C末〜10C初〕「大臣是を見給て顔は草の葉の色にて居給へり」
*蜻蛉日記〔974頃〕中・天祿元年「をさなき人ひとり、疲れたるかほにて寄りゐたれば」
*徒然草〔1331頃〕二三六「おとなしく物しりぬべき顔したる神官を呼びて」
*京大本湯山聯句鈔〔1504〕「別の女を恋するかをで、小玉々々と云たぞ」
 
(ハ)(比喩的に用いて)様子。態度。
*古今和歌集〔905〜914〕恋五・七五六「あひにあひて物思ふころの我袖にやどる月さへぬるるかほなる〈伊勢〉」
*石山寺本法華経玄賛平安中期点〔950頃〕六「蔓莚といふは連続する貌(カホ)なり」
 
④成員としての人。列座する予定の人。かおぶれ。
*評判記・剥野老〔1662〕吉川大彌「かほ中のしなとやさだめん心の色のあさからぬこといはんかたなし」
 
⑤(①は人を見分けられる目立つ部分であるところから)人によく知られていることや社会上の体面。
 
(イ)ある人や物を代表する一面。また、なにかにとって代表的な人や事柄。 「大都市にはいくつもの顔がある」「表紙は雑誌の顔だ」
 
(ロ)人によく知られていることによって得られた信用や評判。
*雑俳・折句大全〔1803〕「木戸は顔にて通り空腹(ひだ)るい」
*歌舞伎・梅雨小袖昔八丈(髪結新三)〔1873〕三幕「こんな穢ない居酒見世へ立派なお顔の親分がちょくちょくお寄り下さって」
*伊蘇普物語〔1873〕〈渡部温訳〉四〇「仲人に出て物事を治るのも、夫ほどの威望(カホ)がなければ人が承知しませぬ」
 
(ハ)体面。面目。名誉。
*日本の下層社会〔1899〕〈横山源之助〉四・二・七「深く職人の骨頭を存せり、故に馬鹿らしきほど職人の顔(体面)を重んじたる割合に」
*こゝろ〔1914〕〈夏目漱石〉中・三「『御父さんの顔もあるんだから』と母が又付け加へた」
 
(ニ)一定の地域や仲間の間で勢力や名望のある人。顔役。
*二人女房〔1891〜92〕〈尾崎紅葉〉下・二「職工といったって〈略〉それくらゐの顔(カホ)になれば、〓(なまじ)ひ小官員よりはどれほど好いか知れはしません」
*自由学校〔1950〕〈獅子文六〉都会の谷間「爺さんは、次第に、出る幕を失って、ただ『顔』として、住民に立てられるに過ぎなくなったが」
 
⑥(数字の5を人の顔に見たてたものか)「五」の数をいう符丁。
 

語源

①のように顔面の意と容貌の意とを持つが、上代には、容貌の意でのみ用いられ、顔面の意を表わす語としては、オモテが用いられた。中古になると、カオが、顔面の意をも表わすようになり、オモテと交替した。一方、同じ頃、上代に、頬の意で用いられていたツラも顔面の意で用いられるようになり、その結果、貴族はカオ、庶民はツラを用いるという位相的な対立をなしていたものと思われる。しかし、中世以降、カオの一般語化に伴い、この対立は、一般語カオ、卑罵語ツラという対立に変化し、現代に至っている。

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