きれ【切れ】

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数え方(読み方)・単位

一枚 (いちまい) 、一片 (いっぺん) 、一切れ(ひときれ)

解説

「片」は紙片・布片を数える語です。「切れ」は、大きな部分から切り取ったり、切り分けたりしたものを数える語です。

意味

①切れて残った、物の一部分。切れ端。
 
(イ)木、紙、髪などの切れ端。

*和泉式部集〔11C中〕上「宮法師になりて、髪のきれをおこせ給へるを」
*古本説話集〔1130頃か〕五三「めぐりを見れば、鍋に檜の木のきれを入れて、煮食ひたり」
*平治物語〔1220頃か〕下・頼朝遠流に宥めらるる事「小刀并びに木のきれを乞ひ給へば」
*俳諧・猿蓑〔1691〕一「まじはりは紙子の切を譲りけり〈丈艸〉」
*幼学読本〔1887〕〈西邨貞〉二「此のカラスはくちばしに肉の切れをくはへて居れり」
*二百十日〔1906〕〈夏目漱石〉四「草鞋(わらぢ)の切れが茨にかかってゐる」
 
(ロ)布帛(ふはく)の切れ端。また、広く反物(たんもの)、織物をもいう。

*閑居友〔1222頃〕上・清水のはしのしたの乞食の説法事「腰には薦のきれをまきてぞありける」
*名語記〔1275〕六「きぬきれ、ぬのきれのきれ如何。答、きりられ、きりらせの反」
*漢書列伝竺桃抄〔1458〜60〕楚元第六「きぬわたのきれをきりて、こくそと云ものにする事ぞ」
*俳諧・奥の細道〔1693〜94頃〕太田神社「此所太田の神社に詣(まうづ)。真盛が甲(かぶと)、錦の切あり」
*洒落本・風俗八色談〔1756〕叙「羽二重の裁(キレ)に木綿のぼろを綴り合せたれば」
*滑稽本・浮世風呂〔1809〜13〕二・上「お秋さんお秋さん。こっちへお出(いで)。この裁(キレ)を上げやう」
*当世書生気質〔1885〜86〕〈坪内逍遙〉三「守袋は、古錦爛(こきんらん)の截片(キレ)でこせへて」
*一握の砂〔1910〕〈石川啄木〉忘れがたき人人・一「石狩の美国といへる停車場の 柵に乾してありし 赤き布片(キレ)かな」
 
(ハ)書画などの、古人の筆跡の断片。断巻。「高野切」「本阿彌切」「つたぎれ」など。

*咄本・昨日は今日の物語〔1614〜24頃〕上「弘法大師の心経のきれを三くだりばかり求め出して」
*俳諧・大坂独吟集〔1675〕下「いづれの哥書の切ぞ身に入 忠度の留守の盗人月更て〈悦春〉」
*芭蕉宛木因書簡‐天和二年〔1682〕二月下弦「去比在京之節古筆一牧相求候、此きれ京中定る人無〓之候」
 
(ニ)ほんのわずか。
*四河入海〔17C前〕一三・三「又は我家に食物のきれがない程に鳥も不〓来と云心ぞ」
 
②数多い同類の中の一人。多く、「とるにたりない者だが」という謙遜の気持を含めていう。はしくれ。

*玉塵抄〔1563〕四三「とをい国に王のきれにないて名ばかり王にしてをかれたぞ」
*虎明本狂言・餠酒〔室町末〜近世初〕「『是はおそうしゃで御ざるか』『中々そうしゃのきれです』」
*浄瑠璃・用明天皇職人鑑〔1705〕二「望んで軍に立てこそ男のきれ共いふべけれ」
*浮世草子・風流曲三味線〔1706〕三・五「身共も男の切(キレ)でござれば、嫌はるるを満足には存ぜぬゆへ」
 
③つながっているもの、続いているものなどが切れること。また、その切れ目や切れぐあい、刃物の切れあじ。

*歌舞伎・曾我綉侠御所染(御所五郎蔵)〔1864〕五幕「この百両を手切(てきれ)にやり、お主へ御恩を送らせて、それを切(キレ)にさっぱりと、縁を切ってしまふほどに、どうぞその金下さんせいな」
*いさなとり〔1891〕〈幸田露伴〉九「彦右衛門平常(つね)にはがらりと変った調子で語句の切れ勢よく話しながら」
 
④(目について)目じりの方へ切れ込んでいるぐあい。
*椀久物語〔1899〕〈幸田露伴〉二「癇癖知るる眼尻のきれ、色白にして柔和なれど侮り難き風情あるは」
*青春〔1905〜06〕〈小栗風葉〉春・一「截(キレ)の長い鋭い目に湿(しっと)り光を持って」
*鳥影〔1908〕〈石川啄木〉二・一「切(キレ)のよい眼を眩しさうにした」
*爛〔1913〕〈徳田秋声〉五「口元の苦味走った、目の切の長いその男を」
 
⑤小判などに付いた、きず。また、きずのついた小判。
*浮世草子・好色二代男〔1684〕三・二「其小判は切(キレ)もなく、かる目もないかととへば」
*浮世草子・傾城歌三味線〔1732〕一・三「小判の入た紙入を落しておけがし、小判に切(キレ)が有ても勘忍せふにと」
*雑俳・柳多留‐五〔1770〕「懸取りは理づめで切れをさづけられ」
*滑稽本・浮世風呂〔1809〜13〕四・中「ひょっと古銭(かはりせん)が交って、掘出したらおまへの耳たぶ、ソレ、錆びたれども破損(キレ)はないぞや」
 
⑥端女郎が色を売るのに、時間を区切ること。
*随筆・吉原失墜〔1674〕「きれをうるとは、いかなるゆへとたづね侍れば、それしゃのいはく、一旦につき二十六匁を一尺にきりて一匁づつにうる、心にいへり」
*浮世草子・元祿大平記〔1702〕五・ここはもとより分の吉原「通領(とをしゑり)の女郎 あるひは五寸つぼねと云 四百卅人、切(キ)れにあへば五匁、揚れば壱角づつ」
 
⑦遊女をいった、和泉国(大阪府)堺の語。
*評判記・色道大鏡〔1678〕一四「伊勢の遊び女を彦右といひ、尾州にては壁むしり〈略〉泉州堺にてはきれといふ」
 
⑧(「一切れ」のかたちで)男女のかりそめの情事。
*浄瑠璃・淀鯉出世滝徳〔1709頃〕上「しんぞ一きれふるまひたい」
*雑俳・柳多留‐初〔1765〕「藪入りにうすく一ときれ振廻れ」
 
⑨立花で、枝の前に十文字になるように他の枝を出すこと。
*男重宝記(元祿六年)〔1693〕三・二「よその枝のよこへ出たるまへへ立(たて)に出し、たてに出たる前へよこに出して、十文字になすべからず。切(キレ)とてきらふ事也」
 
⑩石材の一尺(約三〇センチメートル)立方のもの。
 
⑪人の才能や技術などの鋭さ。「頭の切れがいい」「切れのいい論文」
 
⑫投げた球などの勢いや冴え。また、その曲がりぐあいの鋭さ。「カーブの切れが悪い」

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