数え方(読み方)・単位
一齣 (ひとくさり) 、一本(いっぽん)
解説
「齣」は楽曲・遊芸・講談の段落を数える語です。「本」は出し物の数を数える語です。
意味
①書物や教義について解説すること。講釈。
*日葡辞書〔1603〜04〕「Co〓dan (カウダン)〈訳〉ある書物について説明する。または、説教する」
*随筆・配所残筆〔1675〕「兵書之次而(ついで)に荘子之講釈御所望候て、折々講談(カウダン)申上候」
*集義和書〔1676頃〕一三「書に向て講談する時は、学者のごとし」
*妙好人伝〔1842〜58〕初・下・伊州六兵衛「其寺の比丘梵網経の講談をつとめ」
②寄席(よせ)演芸の一つ。御家騒動、政談、軍記、武勇伝、かたき討ちなどを調子をつけておもしろく読んで聞かせるもの。太平記読みに始まり、江戸時代には、ふつう「講釈」と呼ばれていたもの。
*浮世草子・御前義経記〔1700〕六・二「菅原とやらいふ女郎の八嶋の講談するよし、是はめづらしい傾城の物読(ものよみ)、今がはじめ」
*里芋の芽と不動の目〔1910〕〈森鴎外〉「何某の講談は塩原多助一代記の一節で、その跡に時代な好みの紅葉狩と」
③②の物語を書きしるしたもの。講談風の読みもの。
*灰燼〔1911〜12〕〈森鴎外〉一九「此関係を最も明白に証明してゐるのは新聞、国の新聞に必ず載せてある講談と云ふものである」
*暗夜行路〔1921〜37〕〈志賀直哉〉三・一三「何だか講談で読んだ事があるやうよ」
語源
①本来は話芸と直接関わりなく、経典や漢籍、わが国の古典などを平易に解説することを示す語であったが、幕末頃からそれまで「講釈」と呼ばれていた寄席の演芸を、「講談」と称することが多くなった。
②話芸としての講談(講釈)は、室町時代以来の「太平記読み」に始まり、大体、筋の展開を主眼に置いて、書物を朗誦・解説するものであるが、書物を見ずに講談を行なう「無本」という形態もあった。