く【句】

《スポンサードリンク》
 

【数え方・単位】

一句(いっく)、一つ(ひとつ)

【解説】

「句」は連句・俳諧 (はいかい) の作品を数える語です。

【意味】

①文章の中でひとまとまりをなしている、意味を持つことばのひと区切り。また、ことばのひとつづき。

*古事記〔712〕序「上古の時、言と意と並びに朴(すなほ)にして、文を敷き句を構ふること、字に即ち難し」
*名語記〔1275〕五「おもふ心を、句の中に、くばりこむる也」
*洒落本・通言総籬〔1787〕二「いいかと思やあがって。おれがこふいふ句を出す日になっちゃあ、かくごうしろ」
*虞美人草〔1907〕〈夏目漱石〉一九「甲野さんは句(ク)を切った。母は下を向いて答へない」
 
②詩歌の構成単位。

(イ)漢詩で、四字、五字または七字などをつづけたひとまとまり。
*宇津保物語〔970〜999頃〕祭の使「ここら興あるくをおもしろき声に、多くの人誦する声にまじらず、いみじきものかな」
*源氏物語〔1001〜14頃〕桐壺「文など作りかはして、〈略〉おもしろく作りたるに、御子も、いと、あはれなる句を作り給へるを」

(ロ)和歌で、韻律上、五音節、七音節などで区切られたもの。
*古今和歌集〔905〜914〕羇旅・四一〇・詞書「かきつばたといふいつもじをくのかしらにすゑて、旅の心をよまんとて」
*八雲御抄〔1242頃〕一「旋頭歌。三十一字に今一句を添へたる也。普通歌は五句、是は六句也」

(ハ)短歌、連歌などで、五七五、または、七七などの音節の組み合わせでまとめられるひと区切り。上の句、下の句、前句、付け句の類。
*連理秘抄〔1349〕「その故は、以前の句に美しくくさるべきに、いかにも前の句に思ひあはぬ句の出で来る折に、連歌はつまる也」
*虎明本狂言・富士松〔室町末〜近世初〕「最前の句をうへ下へないた物でござる」
*俳諧・去来抄〔1702〜04〕先師評「あやのねまきにうつる日の影 なくなくも小(ちひさ)きわらぢもとめかね〈去来〉 此前出て座中暫く付あぐみたり。先師曰『能上臈の旅なるべし』やがて此句を付。好春曰『上人の旅とききて言下に句出たり。蕉門の徒、修練各別也』」
 
③俳句。連句の発句をいう。

*俳諧・笈日記〔1695〕上・伊賀「『かちならば杖つき坂を落馬哉』といひけれども、季の言葉なし。雑の句といはんもあしからじ」
*黄表紙・高漫斉行脚日記〔1776〕上「はいかいのふうぎもはなはだあしくなり、定会に弟子いでざればかきつけにて句をとりよせ」
*雑俳・柳多留‐三二〔1805〕「句の反故で立圃は雛をつつむなり」
 
④格言、または慣用句をいう。
*日葡辞書〔1603〜04〕「Cu (ク)〈訳〉格言」
*貧乏物語〔1916〕〈河上肇〉序「ラスキンの有名なる句にThere is no wealth, but life (富何者ぞ只生活あるのみ)といふことがあるが」
 
⑤説いて聞かせることば。説明する事柄。
*洒落本・遊婦里会談〔1780〕「その身うけの金の事にゃア、大ぶ句のある事さ」
 
⑥言語単位の一つ。

(イ)単語をつづって、ひとまとまりの思想を表わすもの。思想の言語的表現の最小のまとまり。学説によっては、主語、述語を備えたものとし、また、それが文の部分となっているものとする。
*和英語林集成(初版)〔1867〕「Ku ク 句。Ikku (イック)〈訳〉一つの文」
*百学連環〔1870〜71頃〕〈西周〉一・三「Syntax 即ち句法なるものは文字を重ねて語となし、語を重ねて句となす。其語を積むて一つの意味をなす。之をSentence (句)と言ふ」
*広日本文典〔1897〕〈大槻文彦〉文章篇・四九二「言語を書に筆して、其思想の完結したるを、『文』又は、『文章』といひ、未だ完結せざるを『句』といふ」
*日本文法論〔1902〜08〕〈山田孝雄〉二・一・三「句と単文とは必ずしも同一のものと称するを肯んぜず、句は文の素にして文は句の運用方法の名称なりと定めんと欲す」

(ロ)二個以上の単語が続いて、一個の名詞または動詞、その他の単語と同様の働きをなすもの。
*日本俗語文典〔1901〕〈金井保三〉三・二「主語・客語・説明語・制限語などは、単純の品詞ばかりでなく、幾つか集まった言葉からも出来ます。この集まった言葉を句といひまして、単語と同じ資格で取扱はれまして」

(ハ)一個の自立語に助詞、助動詞を伴ったひとつづき。文節。
 
⑦平曲で、その語られる一章段。
 
⑧個々の単音を文(もん)、その文が連続して作られた事物の名称を名(みょう)といい、その名が連なってまとまった意を表わす章句を句という。「花は紅」の類。また、能詮の教を句といい、所詮の理を義といい、合わせて句義という。
*金剛仙論‐一「句者、即此金剛般若能詮之教。義者、是所詮証理」

《スポンサードリンク》
 



数え方人気 [TOP50]ビジネス文書数え方
季節用語の数え方名数一覧(1~100)