くび【首/頸】

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数え方(読み方)・単位

一級(いっきゅう)、一本(いっつう)

解説

戦 (いくさ) などで取った首は「級」で数えます。古い中国の法で、敵の首を取るごとに爵位 (しゃくい) (級)が上がったことに由来します。

意味

①脊椎動物の頭と胴をつなぐ細くなっている部分。哺乳類や鳥類ではよく発達しているが、爬虫類以下の動物では、はっきりと分化していない。人間などの多くの哺乳類では七個の頸椎(けいつい)によって支持されているが、鳥類や爬虫類では種によって大きく異なる。広義には、生物の頭部とそれ以外の部分を隔てている部分をさす。頸部(けいぶ)。
 
*日本書紀〔720〕神代上(水戸本訓)「已にして素戔嗚尊と其(そ)の頸(クヒ)に嬰(うな)ける五百箇(いをつ)の御統(みすまる)の瓊(に)を以て」
*万葉集〔8C後〕四・七四三「吾が恋は千引の岩を七ばかり頸(くび)に懸けむも神のまにまに〈大伴家持〉」
*新訳華厳経音義私記〔794〕「頸 久鼻」
*枕草子〔10C終〕四九・職の御曹司の西面の「ただ口つき愛敬づき、おとがひの下、くび清げに、声にくからざらん人のみなん思はしかるべき」
 
②物の、(1)に似た形。また、該当する部分。
 
(イ)一般的にいう。
*蘇悉地羯羅経承保元年点〔1074〕中「頭は倶に瓶の頸(クヒ)に繋け稍し寛縦なら令(し)む」
*平家物語〔13C前〕一・鹿谷「瓶子のくびをとってぞ入にける」
*改正増補和英語林集成〔1886〕「テノ kubi (クビ)、アシノ kubi (クビ)」
*葱〔1920〕〈芥川龍之介〉「とうにニスの剥げた茶箪笥の上には、頸の細い硝子の花立てがあって」
 
(ロ)琵琶の、鹿頸の別称。
*八音抄〔1237頃〕「甲腹厚く覆手こはく頸ふとき比巴は、音ちいさくて」
 
(ハ)琴(きん)の転軫(てんじん)の下の部分の称。
 
③(領・襟)衣服の、(1)をおおう部分。えり。

*日本書紀〔720〕天武元年六月(北野本訓)「其の襟(きぬのクビ)を取りて引き堕して」
*新撰字鏡〔898〜901頃〕「〓 襟 己呂毛乃久比」
*枕草子〔10C終〕一四五・きよげなる男の「狩衣の領(クビ)の顔にかかれば」
*将門記承徳三年点〔1099〕「憐ふべし、別賀の紅の涙を緋(あけ)の襟(クビ)に捫(のこ)ふ」
 
④①を含めて、そこから上の部分。あたま。
*宇津保物語〔970〜999頃〕蔵開上「いとおほきにて、くびもすくよかなり。白き絹に柑子をつつめるやうに見えて、いと白くうつくしげなり」
*大鏡〔12C前〕一・三条院「桓供奉の、御物のけに現はれて申けるは『物くびにのりゐて、左右のはねをうちおほいまうしたるに』」
*狐の裁判〔1884〕〈井上勤訳〉六「獣王は兎の首級(クビ)を見つめて思はず泪を浮べ」
 
⑤(首を切られるの意から)
 
(イ)関係が断たれること。縁が切れること。
*洒落本・青楼真廓誌〔1800〕二「とてもこんどはおさまらねへ此ものまへは首(クビ)だろう」
*随筆・一話一言〔1779〜1820頃〕補遺七「首とは縁切れの事」
 
(ロ)職を失うこと。失職。
*春泥〔1928〕〈久保田万太郎〉向島・九「ふざけた畜生だで折角辛苦して入(へえ)った一座をたちまちクビだ」
*真理の春〔1930〕〈細田民樹〉たこ・一〇「うちの会社が合併されれば、酒飲みでお喋りで、不平家をかねたあんたなんか、忽ち首(クビ)だわ」
 
⑥顔。容貌。また、よい顔、美貌、あるいはそのような人。美人。

*洒落本・浪花色八卦〔1757〕花菱卦「かかる所には看板の首(クビ)といふものありて、よい顔を門口のきっはしへ出してまねかすれば」
*俳諧・しかた俳諧〔1783〕納涼青楼曲「祇園町に首連中の名あり 花おほき中に誰か言ひ初て美人草」
*譬喩尽〔1786〕四「頸(クビ)がよい 大坂の時花詞也是女の艷顔を云り」
*洒落本・戯言浮世瓢箪〔1797〕一「古里の草の中でそだちし物も、此廓で仕入し故にこそ、たちまち玉顔(クビ)となりぬ」
 
⑦遊女または茶屋女をさしていう語。
*洒落本・通気粋語伝〔1789〕上・一「『林沖さん花おしゃうさん。きついおみかぎりでこまります』『きのわるいくびだぞ。ちくしゃうめ』」
 
⑧見る目、嗅ぐ鼻だけの二つの頭部をもった鬼。地獄で、亡者の生前の善悪の業の一切を閻魔に告げ、罪の軽重を判定させるという。
*雑俳・柳多留‐二〔1767〕「地ごくても目あかしをする首二つ」
*雑俳・柳多留拾遺〔1801〕巻一〇「首のいふなりにゑんまはさばく也」

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