数え方(読み方)・単位
一本(いっぽん)
意味
①打ちつけた釘を抜き取る道具。形は鋏(はさみ)に似て頭は毛抜きのようになっている和釘用のものや、直角に曲げた鉄棒の先端を薄く伸ばして切れ目を入れ、釘の頭をそこに引っかけて、てこの原理で抜くようになっている洋釘用のものなどがある。
*梵舜本沙石集〔1283〕二・八「釘抜の寄り合ひて、大きなる釘をも安く抜くが如し」
*福翁自伝〔1899〕〈福沢諭吉〉欧羅巴各国に行く「夫れから刀の切口に釘抜(クギヌキ)のやうなものを入れて膀胱の中にある石を取出すとか云ふ様子であったが」
②紋所の名。釘抜の形を図案化したもので、釘抜、違い釘抜、釘抜に閂(かんぬき)、丸に釘抜などがある。多く、中間、奴などのはっぴ、半纏などに用いた。
*本福寺跡書〔1560頃〕「三上大明神の御紋、面の釘貫◇如此」
*浮世草子・好色万金丹〔1694〕二・二「先一番に、紺の布子に天鵝絨の半襟釘抜(クギヌキ)の真鍮紋の」
*浄瑠璃・曾我五人兄弟〔1699頃〕紋尽し「くぎぬき、松かは、きむらごう」
*随筆・後はむかし物語〔1803〕「是も十四五の頃にて伊豆蔵の手代喜兵衛といふもの寿字釘貫などはからくり身上にて」
*歌舞伎・三賀荘曾我島台〔1821〕大詰「次に奴二人、袷看板、釘抜きの紋附き」
③(〔二〕(2)から転じて)「ちゅうげん(中間)」の異称。
*雑俳・柳多留‐一二〔1777〕「釘ぬきとまんぢうつんでこぎ出し」
④(所長を閻魔(えんま)にみたて、嘘をつくと舌を抜くという閻魔の持ち物から〔二〕(1)を連想して)刑務所長をいう、盗人仲間の隠語。〔隠語輯覧{1915}〕
⑤(嘘ばかりついていて、舌を抜かれる者というところから)芸者をいう、盗人仲間の隠語。〔特殊語百科辞典{1931}〕
⑥(綿抜から〔二〕(1)を連想して)袷(あわせ)の着物をいう、盗人・てきや仲間の隠語。〔隠語輯覧{1915}〕

