くまで【熊手】

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数え方(読み方)・単位

一本(いっぽん)

解説

意味

①熊の手を連想させる鉄の爪を棒の先につけた長柄の道具。物をひっかけるのに用いる。舟の備品や武器としても利用された。現在では、土地の開墾やどぶさらい、また、ごみなどをかきよせるのに用いる。鉄搭(てっとう)。
 
*平家物語〔13C前〕八・水島合戦「遠きをば弓で射、近きをば太刀できり、熊手にかけてとるもあり」
*文明本節用集〔室町中〕「熊手 クマデ 兵具」
*サントスの御作業〔1591〕一・サントイグナチオ「cumade (クマデ)ニテ ヒニクヲ カキサキ」
*和漢三才図会〔1712〕三五「鉄搭(クマテ) 俗云熊手」
*浄瑠璃・山崎与次兵衛寿の門松〔1718〕上「見付られては出世のじゃまと、おくれを見せぬなん与平。風を追ふてぞにげうせける。町中俄にさはぎ出し棒よ熊手よちゃうちん出せ。大門うてとひしめけば」
*読本・南総里見八犬伝〔1814〜42〕五・四三「町進が衿上へ、抓子棒(クマデ)を楚(しか)とうち被(かけ)て、仰(のけ)ざまに引落しつつ」
 
②竹の先端をかぎ形に曲げ、くしの歯のように並べたものに長い柄をつけたもの。落ち葉や穀物などをかき集めるのに用いる。くまでぼうき。
*八帖花伝書〔1573〜92〕六「高砂、当流はくまでをもつ。〈略〉かけども落葉のつきせぬはといふ時は、くまで、尤に候」
*多識編〔1631〕五「鉄〓 豆地加岐 今案、熊手(クマデ)」
*小学読本〔1874〕〈榊原・那珂・稲垣〉二「竹にて作れるを熊手といふ」
 
③酉(とり)の市に売り出される、福徳をかき集めるという竹製の縁起物。東京都台東区にある鷲(おおとり)神社をはじめ、各地の神社で売り出され、宝船、おかめの面、小判、ますなどの模型をつけて売られる。《季・冬》

*雑俳・川傍柳〔1780〜83〕五「ちっぽけな熊手買ほど屓け残り」
*虚子句集〔1915〕〈高浜虚子〉冬「病む人に買ひてもどりし熊手かな」

④(①②が物をかき集める道具であるところから)ひじょうに欲の深い人をたとえていう。欲張り。強欲者。
*評判記・赤烏帽子〔1663〕杉村小大夫「熊手の事は、前書もいへるごとく、今にやまず、我めいたる事、唯我独尊の様におもわるるは、八幡の庭はきか子にはおそれおおくや」
*評判記・吉原すずめ〔1667〕下・やり手の事「かくあればとて、くまてを、すきとはなれよとにはあらず」
*浄瑠璃・淀鯉出世滝徳〔1709頃〕上「くまでよ慾よといはるるも口惜し」
*浮世草子・傾城禁短気〔1711〕五・三「ただ私が申事は欲が深いの熊手(クマデ)じゃのと、お聞入なされませぬが」

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