くも/クモ【蜘蛛】

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数え方(読み方)・単位

一匹(いっぴき)

解説

意味

①蜘蛛形類、クモ目に属する節足動物の総称。体は頭胸部と腹部とからなり、長い四対のあしをもつ。体長は五〜一五ミリメートル。はね、触角や複眼はなく、分類上、昆虫類よりは、むしろダニやサソリに近い。腹部後方に紡績突起があり、糸を出して網を張り昆虫などの獲物を捕える。

かみつくとあごから毒液を分泌するが、人間では、痛みを覚える程度で害はない。タナグモ、オニグモ、ジョロウグモ、アシナガグモなど五二科約一〇〇〇種が分布する。網を張らないジグモ、ハエトリグモ、ドクグモなどもある。ささがに。学名はAraneae 《季・夏》
 
*日本書紀〔720〕允恭八年二月・歌謡「我が夫子(せこ)が 来べき宵なり ささがねの 区茂(クモ)の行ひ 今宵(こよひ)著(しる)しも」
*宇津保物語〔970〜999頃〕藤原の君「くものすがきたる松の露にぬれたるをとりて」
*俳諧・向之岡〔1680〕「蜘何と音(ね)をなにと鳴く秋の風〈芭蕉〉」
 
②「くもすけ(雲助)(1)」の略。
*俳諧・鶉衣〔1727〜79〕前・下・四八・百虫譜「東海道にちりぼひたる宿なし者をば蜘(クモ)とはいかでいふやらむ」
 
③盗人仲間の隠語。

(イ)(綱にぶらさがって降りるところから)台所、天窓、明り窓から忍びこむ盗賊をいう。〔隠語輯覧{1915}〕

(ロ)戸を切って忍びこむ者。そのこと。また、竿(さお)などを使って外から屋内のものを盗むこと。また、その者をいう。〔隠語輯覧{1915}〕

(ハ)刑事をいう。〔隠語輯覧{1915}〕
 

語源

①方言分布を見ると、第二音節がm音のクモ類とb音のクボ類とに二分される。クモとクボとは、ケムリとケブリ等と同様に、マ行音とバ行音の交替した例。クボ類は、文献には見出すことができないものの、クモ類を囲むように、いくつかの地域に分かれて分布していることから、クモ類よりも古いと考えることもできる。九州中・南部に広く分布するコブはクボの母音交替したもの。また、グモはクモと分布が連続しているから、クモ→グモと変化したものと思われる。
 
②古くクモは、霊力を持つとされ、(1)の挙例「書紀‐歌謡」に見られるように、クモが巣をかけるのを待ち人の来訪の前兆とする俗信や、朝グモを吉事の前兆とする俗信が生まれた。その一方で、「古事記‐中」の「尾生(あ)る土雲(つちくも)、八十建(やそたける)」のように敵対する土着のひとびとをクモと呼び、その外見から、マイナスのイメージをもって描かれることも多い。同様の例は、「謡曲・土蜘蛛」など、クモの変化(へんげ)が源頼光を襲おうとし、逆に退治されるという話にも見られる。

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