くるま【車】

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数え方(読み方)・単位

一輪 (いちりん) 、一台(いちだい)、一両(いちりょう)、一乗 (いちじょう)

解説

車輪は「輪」、リヤカーや手押し車、自動車は「台」、電車の車両は「両」で数えます。「車 (しゃ) 」で数えることもあります。「乗」は昔の中国で、車・兵車を数える語です。

意味

①心棒を中心にして、そのまわりを回るようになっている輪状のもの。輪(わ)。車輪。
 
②車輪をまわして、動かしたり進めたりするようになっている乗物や運搬具。
*正倉院文書‐万葉仮名文〔奈良〕(寧楽遺文)「それ受けむ人ら久流末(クルマ)持たしめて奉り入れしめたまふ日」
*十巻本和名類聚抄〔934頃〕三「車駕 古史考云黄帝作車〈尺遮反一音居 久留万〉」
*宇津保物語〔970〜999頃〕藤原の君「銭、きぬ、かね、くるまに積みて出だしたて給ふ」
*大慈恩寺三蔵法師伝院政期点〔1080〜1110頃〕七「軒(クルマ 車也)を停めて福殿を観て、目を遊はしめて皇畿を眺る」
*説経節・説経さんせう太夫(佐渡七太夫正本)〔1656〕下「いさや車をつくり、都へ引とらせんとて引たり」
 
③②のうち、特に時代による特色のあるもの。
 
(イ)中古・中世では特に、牛車(ぎっしゃ)をさす。
*源氏物語〔1001〜14頃〕梅枝「御車、かくるほどに追ひて」
*宇治拾遺物語〔1221頃〕二・一四「集まりつどひたる物どものけさせて、車かけはづして榻(しぢ)をたてて」
*太平記〔14C後〕二・天下怪異事「御車を差し寄せ、三種の神器を乗奉り、下簾(したすだれ)より出(だしぎぬ)出して、女房車の体に見せ」
 
(ロ)(「俥」とも書く)明治時代では、特に人力車(じんりきしゃ)をさす。
*東京日日新聞‐明治五年〔1872〕一一月一四日「因て爾後馬車を〓と書し、人力車を俥と書し、文書往復すべし」
*団団珍聞‐一四三号〔1880〕「『モシ旦那、安く参(めへ)りませう』『車(クルマ)なら用(いら)ねヘ神奈川(ここ)から汽車に乗るんだ』」
*当世書生気質〔1885〜86〕〈坪内逍遙〉五「此お方さまは今(も)すこし後、仂車(クルマ)でおかへし申しませう」
*たけくらべ〔1895〜96〕〈樋口一葉〉一〇「十分間に車の飛ぶ事此通りのみにて七十五輛と数へしも」
*今戸心中〔1896〕〈広津柳浪〉五「催促がましく人車(クルマ)の久しく待ッて居る事を告げた」
 
(ハ)現代では、特に自動車をさす。
*故旧忘れ得べき〔1935〜36〕〈高見順〉四「東京まで自動車(クルマ)で行かうと彼女が言ふのを」
*鷲〔1940〕〈川田順〉東北と北海道「〓松(とどまつ)の林つらぬける道ながし、蛇轢(ひ)き殺し自動車(クルマ)駛(はし)りぬ」
*エオンタ〔1968〕〈金井美恵子〉九「貧血だと思いますがね〈略〉それなら、食べに行った方がいいなあ。車を呼びますよ」
  
④輪をまわして動かすようになっている機械や仕掛け。また、その輪。特に紡車(つむぎぐるま)をいうことが多い。
*日葡辞書〔1603〜04〕「Curuma (クルマ)〈訳〉日本で婦人が糸を紡ぐのに使うある種の輪」
*仮名草子・仁勢物語〔1639〜40頃〕下・九九「向(むか)ひに立(た)てたりける車に、女の仕事したむなさうに見えければ」
*交隣須知〔18C中か〕三「紡車 クルマデ イトヲ ヒク キモノヲ コシラエテキロウ」
*いさなとり〔1891〕〈幸田露伴〉五四「引き窓の車の工合悪くなりしが」
  
⑤車がまわるようなさま。輪の形。輪なり。輪状。→車に切る・車にめぐる。
 
⑥紋所の名。輪をさまざまにかたどってあるもの。源氏車、風車、重ね花形源氏車、木下車、中川車、三つ割重ね源氏車などの種類がある。
*浄瑠璃・曾我扇八景〔1711頃〕紋尽し「車は佐藤の御むかひ、是龍王のばっそん」
 
⑦「くるまえび(車海老)」の略。
*洒落本・青楼昼之世界錦之裏〔1791〕「『車(クルマ)をもちっと入れさっせへ』『なぜ魚(いを)がありながら、そねへに高いノウ』」
*滑稽本・東海道中膝栗毛〔1802〜09〕八・中「肴屋、しろものは腐(くされ)たれども、売声はねて呼立るをきけば、『〈略〉くるまやア、くるまやア。このしろやア』」
 
⑧「くるまがかり(車懸)(1)」の略。
*雑俳・柳多留‐三三〔1806〕「越後の車に甲斐の馬は逃げ」
 
⑨(「かたぐるま(肩車)」の略)肩にまたがせてかつぐこと。
*雑俳・柳多留‐三一〔1805〕「おそろしい車に九十出して乗り」
 
⑩(「てぐるま(手車)」の略)二人が両手を組み合わせて、他の者を乗せる台のようにしたもの。
*浮世草子・好色五人女〔1686〕四・三「やうやう下女と手をくみて、車(クルマ)にかきのせてつねの寐間に入まいらせて」
 
⑪「くるまざ(車座)」の略。
 
⑫能楽で用いる作り物の名称。
 
(イ)能楽の作り物の一つ。牛車(ぎっしゃ)にまねて、竹で家の形を作り、上を絹で葺(ふ)き、軒には紅段(こうだん)を千鳥にかけ、前に轅(ながえ)を出す。「熊野(ゆや)」「住吉詣」「右近」などに用い、「小塩」では、これに桜の造花を付ける。
 
(ロ)能楽の小道具の一つ。水桶をのせる小さな車。綱をつける。「松風」に用いる。
 
⑬江戸時代、大坂の遊里で、揚げ代四匁三分の遊女をいう。謡曲「松風」の「月は一つ、影は二つ、満(三)つ潮の、夜るの車に月を載せて」の「夜(四)るの車」による語という。
 
⑭餠、せんべいなどをいう大工仲間の隠語。

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