まく【幕】

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数え方(読み方)・単位

①一枚 (いちまい) 、一張 (ひとはり) 、一張 (いっちょう) 、一垂 (ひとたれ)、一帖 (いちじょう)

②一幕 (いちまく・ひとまく)

解説

①幕自体は「枚」で数えます。張ると「張り」「張」で数えます。「垂れ」は幕や暖簾 (のれん) などの垂らして使うものを数える語です。幕2張りで「1帖」といいます。

②芝居や劇のひと区切りを表す場合は「幕」で数えます。

意味

①布を縫い合わせたりして作り、目隠しや日よけ、風よけのためのへだてとして用いるもの。

(イ)旅の途上や戦陣など、戸外で休息や滞在のために、張りめぐらすもの。

*十巻本和名類聚抄〔934頃〕六「幕 唐式云衛尉寺大幅幕八幅幕〈音莫一作万久〉」
*蜻蛉日記〔974頃〕中・天祿元年「走井にて破子などものすとてまく引き廻してとかくするほどに」
 
(ロ)花見や遊山などのおりに、一定の場所に張りめぐらすもの。
*浮世草子・好色五人女〔1686〕一・三「おなつは見ずして、独幕(マク)に残て」
 
(ハ)祭礼の時、軒々に張ったり、桟敷の前に張ったりするもの。
*雑俳・柳多留‐七〔1772〕「若殿を遣る約束で幕をかし」
 
(ニ)仮設の見世物やサーカスなどの回りにめぐらすもの。
 
(ホ)演劇で用いる幕。能の揚幕、文楽や歌舞伎で舞台と楽屋との間を仕切る幕など。また特に、舞台の前面に垂らして、客席との間を仕切るものをいうことが多い。
*わらんべ草〔1660〕一「むかしは布幕横也、尤習ひ有、口伝、惣じて橋掛りのまくは、布にてよこまくなるを、近年は、どんす・きんらん、色々けっこうなるまくにて、まくの内の習もならぬ事あり」
 
(ヘ)室の窓などに張りめぐらして、日光をさえぎる暗幕の類。
*道程〔1914〕〈高村光太郎〉師走十日「師走十日の日盛りを惜しげもなく 黒い幕にて物好きな夜をつくり アウル館の舞台には」
 
(ト)映画・スライドなどを映写する白い布。映写幕。スクリーン。
*蟹工船〔1929〕〈小林多喜二〉五「瞬間消えて、パッと白い幕になった」
 
②(歌舞伎などの演劇での、舞台と客席を仕切る幕の意から)

(イ)演劇で、一場面が終わると幕を引き(または幕をおろし)その場面を終わりとすること。また、その幕がおりていること。
*歌舞伎・幼稚子敵討〔1753〕口明「新左衛門立廻り、『伴れて行け』〔是にて幕の方よし〕」
*歌舞伎・四天王楓江戸粧〔1804〕三立「これをキッカケに早神楽、突っかけにて、幕」
*滑稽本・客者評判記〔1811〕中「けふはおめへ隣の芝居を見てゐるが、あっちは今幕だから、幕の内にちょっくり来ました」
 
(ロ)転じて、一般に、ある事柄が一段落して終わりになること。
*雑俳・折句袋〔1779〕「行合いの喧〓は雨の降るが幕」
 
(ハ)演劇で、幕をあけてから幕を閉じるまでの劇の場面をいう。
*雑俳・柳多留‐二二〔1788〕「ぬれのまく下女のび上りしかられる」
*小説神髄〔1885〜86〕〈坪内逍遙〉上・小説総論「前の齣(マク)にて見えたる事実(ことがら)と、後の齣(マク)にて演する事実といくらか脈絡相通じて因縁あきらかならざるべからず」

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