【数え方・単位】
一つ(ひとつ)、一本(いっぽん)、一箇所(いっかしょ)
【意味】
①一方は高く一方は低く傾斜して勾配(こうばい)のあるところ。登り降りする道。また、その傾斜。
*古事記〔712〕上「亦其の黄泉(よみ)の坂(さか)に塞(さや)りし石は、道反(ちがへし)之大神と号け」
*万葉集〔8C後〕一九・三五二三「佐可(サカ)越えて阿倍の田の面(も)にゐる鶴(たづ)のともしき君は明日さへもがも〈東歌〉」
*歌仙家集本元輔集〔990頃〕「位山みねにつきつる杖なれどいまよろづよのさかのためしぞ」
*更級日記〔1059頃〕「それよりかみは、ゐのはなといふさかの、えもいはずわびしきを上りぬれば」
*徒然草〔1331頃〕一八八「悔れども取かへさるる齢ならねば、走りて坂を下る輪のごとく衰へゆく」
*浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節〔1707頃〕道中双六「坂はてるてる、すずかはくもる、土山あひの、あひの土山雨がふる」
②①の登りからくだりへの境目を、物事の区切りにたとえていう語。多く年齢などに用いる。
*車屋本謡曲・蝉丸〔1430頃〕「げにげに是もつくからに、千年の坂をも越えなむと、かの遍照がよみし杖か。それは千年のさかゆく杖」
*河越千句〔1470〕三「ひとり杖つく旅のやまみち〈心敬〉 越わびつ六十あまりの老の坂〈道真〉」
*火の柱〔1904〕〈木下尚江〉三・一「五十の阪を越したりとは見ゆれど、どこやら若々とせる一寸品の良き老女なり」
③「さか(坂)の者」に同じ。
*鶴岡事書日記‐応永五年〔1398〕六月「人数は神主、小別当、小社神主等、三綱、承仕、下部、鐘推、坂、以下神官、宝蔵沙汰人等、職宰等に至迄、社司、社官悉結番」
④大阪地方をいう、盗人仲間の隠語。〔隠語輯覧{1915}〕