せきひつ【石筆】

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数え方(読み方)・単位

一本(いっぽん)

解説

数え方の単位「本」は細長い物を数えます。例:「鉛筆1本」「傘3本」「紐 (ひも) 5本」「樹木3本」など。目安として、数える物の横の長さに対して縦の長さが1:2程度なら「個」、横:縦の比が1:3程度だと「本」で数えます。

意味

①黒色または赤色の粘土をかわかして固め、筆の穂の形に削り、管にはさんで書画を書くに用いたもの。携帯に便利。石墨を心(しん)とした今の鉛筆にあたる。

*俳諧・天満千句〔1676〕三「石筆や他山のおぼへ時の花〈如見〉 はじめて此峯存立春〈利方〉」
*浮世草子・好色一代男〔1682〕七・四「屡(しば)しまてとて、鼻紙に石筆(セキヒツ)をはやめ」
*浄瑠璃・日本振袖始〔1718〕二「さしぞへぬいて松のあらかは押削、腰指の石筆(セキヒツ)かみしめし」
*随筆・奇遊談〔1799〕二「山科の東牛尾山法厳寺は、観音の霊場にして、清水寺の奥の院といふ。此山に黒石脂を産す。俗に石筆(セキヒツ)といひて、懐中の筆墨にかへ用ゆ」
*雲根志〔1773〜1801〕前・二・石筆「赤き石筆あり。遠江国島田より二里ばかり北、千葉村にあり。江府平賀氏かんがへ出して、今もっはらほそく切て懐中の筆に用ゆ」
*西国立志編〔1870〜71〕〈中村正直訳〉四・一二「記簿鉛筆(〈注〉セキヒツ)を携へて、林樹の間に徃き、禽鳥を捕へ、その形状を描写せしが」
 
②墨つぼに筆を入れる筒のついたもの。帯に差し込んで持ち歩く。矢立(やたて)。
 
③蝋石などを棒状に造り、石盤に文字・図画などを書くのに用いるもの。
*彼日氏教授論〔1876〕〈ファン=カステール訳〉二・二「習字は先ず石筆を以て石盤上に習はしむ」
*たけくらべ〔1895〜96〕〈樋口一葉〉七「石筆(セキヒツ)を折り墨をすて、書物も十露盤も入らぬ物にして」
 

語源

近世中期から「石筆」はオランダ舶来の筆記具をも指すようになった。それは、西洋の鉛筆あるいはその初期のものであったと思われる。近世の文献では「石筆」に「セキヒツ」「イシフデ」「ポットロード」の三通りの読み方が確認されるが、「増訂華英通語」(一八六〇)では「鉛筆(ポットロード)」とルビが付されており、「鉛筆」と「石筆」の関連性がうかがわれる。このように「鉛筆」を「石筆」に準じて理解させる例が、挙例の「西国立志編」をはじめ、明治初期の文献に多く見られる。

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