せりふ【台詞/科白/白】

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数え方(読み方)・単位

①一行 (いちぎょう)
②一言 (ひとこと)

解説

①台本に書かれている台詞の分量は「行」で数えます。例:「30行もの長い台詞を暗記する」

②コメントをたとえていう場合は「言」を用い、「一流スポーツ選手は引退のとき、ひと言名台詞を残す」のようにいいます。

意味

①役者が劇中で言うことば。せるふ。せれふ。
*わらんべ草〔1660〕五「其時の脇は、進藤久右衛門左近のぜうは、同権右衛門にてせりふに、云分有しに」
*評判記・難波の伊勢の白粉〔1683頃〕二「声にかさが聞ゆる梁(うつはり)の塵おどらしても湾諷(セリフ)にかけても一牧が物は朝はらじゃと小四郎も極められたと」
*小説神髄〔1885〜86〕〈坪内逍遙〉上・小説の変遷「俳優(やくしゃ)の動止(しうち)と言語(セリフ)に伴ひ其趣きを写す程に」
 
②常日頃からの言いぐさ。きまり文句。儀礼的な慣用句。
*浮世草子・風俗遊仙窟〔1744〕二「貧賤に素しては、此糟を用ひよとの世理賦(セリフ)を用ひず、賢者ぶりて」
*滑稽本・浮世風呂〔1809〜13〕四・序「紺屋の明後日、作者の明晩、久しい分説(セリフ)と合点して」
 
③(一般的に)ことば。会話。
*浄瑠璃・心中重井筒〔1707〕上「ぎりにつまった女房のせりふ、もっともとむねにこたへしよりふさが」
*滑稽本・風来六部集〔1780〕放屁論「『一座がかの通り者なれば〈略〉どふも活ては居られぬ』とのせりふ」
*即興詩人〔1901〕〈森鴎外訳〉末路「むかし一言の白(セリフ)、一目の介(おもいれ)もて、万人に幸福を与へしおん身なるを」
 
④(─する)苦情・文句を言うこと。言い分を述べること。交渉・談判すること。
*浄瑠璃・長町女腹切〔1712頃〕中「お花はこちの奉公人。おやじとのせりふならどこぞ外でしたがよい」
*歌舞伎・桑名屋徳蔵入船物語〔1770〕口明「さういはんすと、腰据ゑて猶台詞(セリフ)せにゃならぬわいな」
*滑稽本・東海道中膝栗毛〔1802〜09〕八・下「何じゃあろとここへいて、めきしゃきとせりふせにゃおかんわいの」
 
⑤(─する)特に、遊里で遊女が自分の要求や不満について客と詰め開きをすること。
*洒落本・擲銭青楼占〔1771〕水山蹇「此卦の客は、〈略〉ぶらりしゃらりとよいかげんにつとめておいて吉。せりふをすれば大に身についたものをはなす事あるべし」
*歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)〔1789〕二「新造様の床入には、せりふ手管の間もなふ、つい衣々の朝別れ」
*俳諧・俳諧通言〔1807〕言語「意気地(セリフ)。女郎の立ひきつめ開きの事をいふ」
*浪花聞書〔1819頃〕「せりふする 一理窟いふことなり」
 
⑥(─する)支払いをすること。商取引をすること。
*歌舞伎・五大力恋緘〔1793〕二「爰へござんしてから三十日余りの座敷代〈略〉何ぢゃあらうと今夜中にせりふして下さんせにゃなりませぬ」
*歌舞伎・傾城浜真砂〔1839〕大詰「段々と釣られた貸しのこと、今日はどの道せりふせにゃ聞かんのぢゃ」

語源

①能や狂言の用語から一般化したもの。「せれふ(台詞)」の挙例「八帖花伝書‐三」に、「次第、みちゆき、付ふし、せれふ、かかるふし〈略〉あひの謡、出は、きり、かくのごとくのうたひわけ」と記されているように、能の中での謡の構成要素として挙げられている。特に狂言においてはせりふが中心であったところから、近世になると、広く相手のことばや、談判、きまり文句などの意味で使用されるようになった。
 
②節用集類には、「世流布(セルフ)」〔延宝八年合類節用集・運歩色葉〕や「世理否」「世利布」〔万代節用集〕といった漢字表記も見える。明治になって、「言海」などの国語辞書が、漢字表記として「台詞」を採用したが、中国語にもある「台詞」「科白」を日本でも使うようになったのであろう。「セレフ」「セルフ」は「セリフ」よりも古い語形かとも考えられる。

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