しょうせつ【小説】

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数え方(読み方)・単位

一編 (いっぺん) 、一作品(いちさくひん・ひとさくひん)、一点(いってん)

解説

「編」は詩・文章・随筆・小説などを数える語です。小説コンクールなどで、応募作品を「点」で数えることもあります。

意味

①民間に伝わる話や市中の話題を記述した、散文体の文章。正式の、改まった文章でないもの。中国の稗史(はいし)から出たもので、ふつうはある程度史実に基づいた話をさすが、あたかも史実のように見せかけた虚構の話をさすこともある。

*史記抄〔1477〕九・呉太伯世家「越より范蠡が計で西施を呉王に献じたと云事は小説にはあれども史記并通鑑等には無明文ぞ」
*水戸本甲日本紀私記〔1678〕序「異端小説怪力乱神〈一書及或説為異端反語及諺曰為小説也〉」
*俳諧・其雪影〔1772〕蕪村序「たとはば小説の奇なることは諸史のめでたき文よりも興あるがごとし」
*黄表紙・鳩八幡豆と徳利〔1786〕「頼朝一代記の小説を由井が浜にて講じけるが、少しも万八を交ぜぬゆゑ」
*滑稽本・浮世風呂〔1809〜13〕二・序「這(この)女湯の小説(セウセツ)は、素(もと)より漫戯の書といへども」
*音訓新聞字引〔1876〕〈萩原乙彦〉「小説 セウセツ ヨノナカノウハサバナシヲ新聞即コレトル」
 
②({英}novel の訳語)

文学形態の一つ。作家の想像力・構想力に基づいて、人間性や社会のすがたなどを、登場人物の思想・心理・性格・言動の描写を通して表現した、散文体の文学。一般には近代小説をさすが、国文学史では、古代の伝説、中古の物語、中世の草子、近世の読本などの散文体文学をもさす。

*西国立志編〔1870〜71〕〈中村正直訳〉一・三〇「その著はすところの書、小説あり、詩あり、戯曲あり」
*和英語林集成(再版)〔1872〕「Shou setsu セウセツ 小説 n. A story book, novel, fiction 」
*小説神髄〔1885〜86〕〈坪内逍遙〉緒言「我小説(セウセツ)の改良進歩を今より次第に企図(くわだ)てつつ、竟には欧土の那(ノ)ベル(小説(セウセツ))を凌駕し」
*糸くづ〔1898〕〈国木田独歩訳〉「此一条の物語が甘く小説らしく局を結んだと語り歩いた」
*桐の花〔1913〕〈北原白秋〉桐の花とカステラ「ある時は新しい戯曲に、小説に、パントマイムに」
 
③自分の説をへりくだっていう語。俗説。
 
④他人の説や世間に流布している説を非難の意をこめていう語。俗世の迷信。
*足利本論語抄〔16C〕里仁第四「朝夕は近き心ぞ。夕と取るは小説ぞ」
*窮理図解〔1868〕〈福沢諭吉〉八章「伊太里の大学者『がれりを』なる者地動の説を唱へ世界は動き廻ものなりと発明なせしにより千古の疑団(うたがい)始て氷解又世の小説(セウセツ)に惑さるるものなし」

語源

①特定のジャンルを指すものとして用いたのは、中国では(1)の挙例、班固の「漢書‐芸文志」が古い。その内容は伝説や説話の類で、とるに足りない価値のないものととらえられている。日本では(1)の挙例、平安時代初期の「日本紀私記」や「聖徳太子伝暦」などに見え、これらは「漢書‐芸文志」の流れを汲むと考えられる。
 
②近世に入り、唐話学の隆盛、中国の近代の文学に関する知識の浸透にしたがって、「小説」は、唐宋以降、特に明・清の白話小説を指すとともに、国文の戯作をも指すようになる。
 
③②について、novel 以外の関連する原語、fable, fiction, romance, story, tale 等に広げて考えれば、訳語としての「小説」は蘭学時代を含めて、坪内逍遙以前にもかなり一般化していた。
 
④逍遙がnovel を翻訳したといわれるのは、逍遙が、西洋の文学形態の変遷を踏まえた上で、novel を最も進んだ段階のものとして、romance などの他の文学形態と明確に区別することによって、複数の原語に対応していた「小説」をnovel に限定し、そこに近代的な概念を注入したことによる。

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