そこ【底】

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数え方(読み方)・単位

一枚(いちまい)

解説

箱の底や靴の底は「枚」で数えます。

意味

①海・池・川などくぼんだ地形の下の部分。また、器物などの下を構成する部分。その内側の面や下側の表面をいうこともある。

*古事記〔712〕上「海塩(うしほ)に沈み溺れたまひき。故、其の底(そこ)に沈み居たまひし時の名を、底度久御魂〈度久の二字は音を以ゐる〉と謂ひ」
*万葉集〔8C後〕四・七〇七「思ひやる術の知らねば片(かたもひ)の底にそ吾は恋なりにける〈粟田女娘子〉」
*名語記〔1275〕四「ふかきもののそこ、如何。答、そこは底也。しもくほの反、下窪也」
*徒然草〔1331頃〕三「万にいみじくとも、色このまざらん男は、いとさうざうしく、玉の巵(さかづき)の当(そこ)なきここちぞすべき」
*工学字彙〔1886〕〈野村龍太郎〉「Bottom 底」
*日本読本〔1887〕〈新保磐次〉四「諸君は茶碗、徳利の底を見しならん」
 
②水などがたたえられているとき、また、物が積み重ねられたりしているとき、その下の方の部分。川や海などの下の方。

*土左日記〔935頃〕承平五年二月一一日「あるひと、このやなぎのかげの、かはのそこにうつれるをみてよめるうた」
*天草本伊曾保物語〔1593〕犬が肉を含んだ事「アルイヌ シシムラヲ フクンデ カワヲ ワタルニ ソノカワノ マンナカデ フクンダ シシムラノ カゲガ ミヅノ soconi (ソコニ) ウツッタヲ ミレバ」
 
③天に対して、地をいう。また、地表より下の奥深い地中。上代では、この世(中つ国)をはさんで、天に対する、地中の国をいう称。「底つ磐根」
*源氏物語〔1001〜14頃〕明石「地のそことほるばかりの氷(ひ)降り」
*説経節・説経苅萱〔1631〕中「八十ばかりなにこうか、だいちのそこににゑいるなり」
 
④きわまるところ。きわみ。はて。また、ぎりぎりのところ、限度。限界。また見通しや理解が及ぶ限度。
*平家物語〔13C前〕一二・六代被斬「是は底もなき不覚仁にて候ぞ」
*こゝろ〔1914〕〈夏目漱石〉上・七「此問答は私にとって頗る不得要領のものであったが、私は其時底迄押さずに帰って仕舞った」
*浅草紅団〔1929〜30〕〈川端康成〉七「分かった? あれもざんぎりお何の一人。大抵あんなものよ。浅草の底(ソコ)ね。だけどまだ、走るだけ女の冥加さ」
*東京八景〔1941〕〈太宰治〉「しかも私の生れて育った故郷の家も、いまは不仕合せの底にある」
 
⑤奥深いところ。
*千載和歌集〔1187〕夏・一五七「郭公なほ初声をしのぶ山夕ゐる雲のそこに鳴くなり〈守覚法親王〉」
*熊の出る開墾地〔1929〕〈佐左木俊郎〉「突然、山時雨が襲って来た。深林の底は急に薄暗くなった」
*アド・バルーン〔1946〕〈織田作之助〉「夜の底は次第に深くなって行った」
*野火〔1951〕〈大岡昇平〉一五「風景の底に一つの音が響いてゐた。それは山でも始終聞いてゐた断続した爆音で」
 
⑥奥深くて、外から容易にうかがうことのできない物事の極致。蘊奥(うんのう)。また、物事の奥にある本質的なもの。
*今物語〔1239頃〕「近ごろ和歌の道ことにもてなされしかば、内裏仙洞摂政家何れもとりどりにそこをきはめさせ給へり」
*車屋本謡曲・放下僧〔1464頃〕「さてざぜんのこうあんは何とか心え候べき。いっては幽玄のそこにてっし、出でては三昧のもんにあそぶ」
 
⑦人に見せない、心の最も奥の部分。真実のひそむところ。しんてい。しんそこ。
*源氏物語〔1001〜14頃〕若菜下「もてなしなど、気色ばみ恥づかしく、心のそこゆかしきさまして」
*土井本周易抄〔1477〕六「中孚は中心に孚ある心ぞ〈略〉底からの心ぞ。本性なんどと云心ぞ」
*歌謡・閑吟集〔1518〕「おもへどおもはぬふりをして、しゃっとしておりやるこそ、底はふかけれ」
*雑俳・ぎんかなめ〔1729〕「かみのばすからはお後家にそこがあろ」
*我等の一団と彼〔1912〕〈石川啄木〉三「君は一体、決して人に底を見せない男だね」
 
⑧そのものが有する真実の力量、能力。
*源平盛衰記〔14C前〕三六・清章射鹿「義経が乗たる大鹿毛(かげ)は、陸奥国にて名を得たる気高き逸物也。〈略〉鎌倉殿のたびたる薄墨にも底(ソコ)はまさりてこそ在るらめ」
 
⑨取引市場で、相場の下落の極点をいう。
*大坂繁花風土記〔1814〕米方通言「そこ」

*随筆・嬉遊笑覧〔1830〕一一「今物の相場と云もすあひの底なるべし」

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