たね/タネ【種】

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数え方(読み方)・単位

一粒 (ひとつぶ) 、一顆 (いっか) 、一個(いっこ)

解説

大きさに応じて数えます。米粒大なら「粒」、ケシの実大なら「顆」、梅やカキの大きさの種なら「個」を用いて数えます。

意味

①草木の発芽のもとになるもの。種子(しゅし)。
*万葉集〔8C後〕一二・二九九九「水を多み上(あげ)に種(たね)蒔き稗(ひえ)を多み選らえし業そ吾が一人寝る〈作者未詳〉」
*源氏物語〔1001〜14頃〕東屋「兵部卿宮の萩の、なほ殊に面白くもあるかな。いかでさるたねありけむ。同じ枝ざしなどのいと艷なるこそ」
*宇治拾遺物語〔1221頃〕三・一六「このすずめども来たれば、よろこびて、先、口に物やくはへたると見るに、ひさごの種を一づつ、みな落していぬ」
*東寺百合文書‐を・嘉吉二年〔1442〕上久世庄名主百姓等目安(大日本古文書六・一九七)「種をも水に不〓入候之間、当作毛延引候」
*日葡辞書〔1603〜04〕「Taneuo (タネヲ) マク」
 
②果実の核。さね。
*夜明け前〔1932〜35〕〈島崎藤村〉第一部・上・一・三「堅い胡桃の核(タネ)を割って、御幣餠の支度に取り掛ってゐた」
*萱草に寄す〔1937〕〈立原道造〉SONATINE No〓l 「噛みすてた青くさい核(タネ)を放るやうに」
 
③動物の発生するもととなるもの。精子など、生殖のもとになるもの。
*大唐西域記巻十二平安中期点〔950頃〕「桑蚕の子(タネ)を以て帽絮の中に置きて」
*羅葡日辞書〔1595〕「Vrina 〈略〉ヒト、または ケダモノノ tane (タネ)、インスイ」
 
④(胤)血統。血すじ。また、それを伝えるものとしての子。子孫。系統。
*枕草子〔10C終〕二四五・一条の院をば今内裏とぞいふ「さうなしのぬし、尾張人(をはりうど)のたねにぞありける」
*大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点〔1099〕九「人王の胤(タネ)を移して法王の子と為む」
*大鏡〔12C前〕一・序「いひもていけば、おなじたね、ひとつすぢにぞおはしあれど」
*観智院本類聚名義抄〔1241〕「族 ヤカラ タネ」
*人情本・春色梅児誉美〔1832〜33〕四・二四齣「近常が種(タネ)なるよし相わかり」
*爛〔1913〕〈徳田秋声〉五「以前ついてゐた種の好い客が、一人も寄りつかなくなってゐた」
 
⑤物事の発生するもと。根源。原因。
*万葉集〔8C後〕一四・三四一五「上野伊香保の沼に植ゑ子水葱(こなぎ)かく恋ひむとや多禰(タネ)求めけむ〈東歌・上野〉」
*古今和歌集〔905〜914〕仮名序「大和歌は人の心をたねとして、万の言の葉とぞなれりける」
*源氏物語〔1001〜14頃〕東屋「数ならぬ身に、物思ふたねをやいとど蒔かせて見侍らむ」
*古本説話集〔1130頃か〕五三「物のししをくふ人は、仏のたねをたちて、ぢごくにいるみち也」
*太平記〔14C後〕三〇・慧源禅門逝去事「災患本種(タネ)無し、悪事を以て種とすといへり」
*人情本・春色辰巳園〔1833〜35〕四・九条「直にあいそのつきる種だはネ」
*渋江抽斎〔1916〕〈森鴎外〉六七「今尚信頼し難い優善が、責任ある職に就いたのは、五百のために心労を増す種(タネ)であった」
 
⑥物をつくる材料。製作の原料。また、料理の材料。汁の実。
*真景累ケ淵〔1869頃〕〈三遊亭円朝〉一八「お吸物も、なんでございます。詰らない種でございますから、海苔でも焼いて上げませうか」
*吾輩は猫である〔1905〜06〕〈夏目漱石〉一一「新体詩の種が出来た。早速とりかかり玉へ」
*青べか物語〔1960〕〈山本周五郎〉家鴨「『今日はいいたねがはいったから』と、てんぷらを揚げて届けに来たりした」
 
⑦手段を施す材料。後に備えてあらかじめつくり設けておくもの。仕掛け。また、裏に隠された事実やからくり。
*浮世草子・好色五人女〔1686〕四・四「又さもあらば吉三郎殿にあひ見る事の種(タネ)ともなりなん」
*浄瑠璃・吉野忠信〔1697頃〕二「此の儀を梶原たねにとり、万端過言せしむるなり」
*真景累ケ淵〔1869頃〕〈三遊亭円朝〉九三「安田一角が他の者へ話してゐるのを私が傍で聴いて居たから事実(タネ)を知ってるのでございます」
 
⑧物事のよりどころとするもの。準拠する基(もとい)となるもの。たより。
*西洋道中膝栗毛〔1870〜76〕〈仮名垣魯文〉二・上「ばかアいへ。ありゃア、近松が戯作で種(タネ)のねへことだは」
*福翁自伝〔1899〕〈福沢諭吉〉緒方の塾風「ソコで其写本と云ふことが又書生の生活の種子(タネ)になった」
*良人の自白〔1904〜06〕〈木下尚江〉前・九・一「何れ裁判所を種子(タネ)に飯を食ってる連中であらう」
 
⑨元金。元手。
*歌舞伎・曾我梅菊念力弦〔1818〕三立・切「利足どころか、悪く致すと、種(タネ)まで返した事はござりませぬ」
*歌舞伎・小袖曾我薊色縫(十六夜清心)〔1859〕序幕「俺も手前故にやア構ひ食ひ、頭は段々延て来るが、種はすっかりすってしまった」
 
⑩質草。
*俳諧・西鶴大句数〔1677〕二「月も花も昔になした質の種 あきがら匂ふ藤つづらかも」

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