たぬき/タヌキ【狸】

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数え方(読み方)・単位

一匹(いっぴき)

解説

⇒どうぶつ(動物)

意味

①イヌ科の哺乳類。体長五〇〜六〇センチメートル。尾は太く足が短い。体毛はふつう灰褐色で顔や足は黒く、背に不明確な十文字状の黒毛があり、「十字ムジナ」ともいう。岩穴などにすみ雑食性で、夜外にでて小動物や果実を食べる。人家付近でも見かけられ、アナグマと混同されやすい。一定の場所に糞をする「ため糞」の習性をもち、また、強く驚くと死んだまね(擬死)をする。東アジアの特産種で、日本では各地の低山に多い。毛皮は防寒用に、毛は上等の筆になる。肉はまずく、あまり食肉としては利用されない。昔話や伝説では、人を化かすとされた。むじな。まみ。たたけ。たのき。学名はNyctereutes procyonoides 《季・冬》
 
*東大寺本大般涅槃経平安後期点〔1050頃〕二〇「或は鳥獣鷲狐狸(タヌキ)の属を見」
*宇治拾遺物語〔1221頃〕八・六「聖なれど、無智なれば、かやうにばかされける也。猟師なれども、おもんぱかりありければ、たぬきを射害し、其ばけをあらはしける也」
*平家物語〔13C前〕六・祇園女御「此もの、さしもたけき物とは見ず。きつね、たぬきなどにてぞ有らん」
*日葡辞書〔1603〜04〕「Tanuqi (タヌキ)〈訳〉山犬に似た動物」
 
②人をあざむきいつわること。うそをつくこと。また、そのうそや、うそをつく人、したたかで一筋縄ではいかない人をいう。
*浄瑠璃・国性爺後日合戦〔1717〕三「やいやい、其処な狸め」
*咄本・諺臍の宿替〔19C中〕五「だんなそのやうにおっしゃっても、この金玉ではまた狸(タヌキ)ぢゃないかヱ」
 
③「たぬきねいり(狸寝入)」の略。
*洒落本・色講釈〔1801〕「客しばらくたぬきをやらかしいたりしが」
*雑俳・柳多留拾遺〔1801〕巻一四上「起きなんしなどと狸へよりかかり」
*人情本・仮名文章娘節用〔1831〜34〕前・三回「旦那もし、もうたぬきで御迯(に)げなさるね」
*西洋道中膝栗毛〔1870〜76〕〈仮名垣魯文〉四・下「北八はおのがふしどへいたりてたぬきをきめてゐる」
 
④「たぬきじる(狸汁)」の略。
*御湯殿上日記‐文明一七年〔1485〕一〇月一九日「なかはし申御さた、御たる一か、御かはらけ物五色、たぬきもまいる」
*随筆・嬉遊笑覧〔1830〕一〇上「〔絨論〕寮の窓つまは焦さじ扇なり 結句狸汁(タヌキ)にばけるこんにゃく」
 
⑤「たぬきうどん(狸饂飩)」「たぬきそば(狸蕎麦)」などの略。
*ロッパ食談〔1955〕〈古川緑波〉うどんのお化け「たぬきといふのもある。これは、何かと思ったら、(昔は、あんかけを、たぬきと称していたやうだが)揚げカスを、載っけた奴であった。それなら、つひ先頃まで、ハイカラうどんと称していた筈である」
 
⑥藁草履(わらぞうり)をいう、盗人仲間の隠語。〔日本隠語集{1892}〕
 
⑦花札賭博の一種をいう、賭博仲間の隠語。〔隠語輯覧{1915}〕

語源

①「法華経音訓」には「狸」にタタケ、タヌキ、ネコマ、「観智院本名義抄」には同じくタヌキ、タタケのほかイタチという訓が付されているので、「狸」字は、現代のように必ずしもタヌキのみを指すわけではなかったと思われる。
 
②狸が人を化かすという俗信は古くからあったらしく、「今昔物語集」には「狐・狸の獣の為に謀らるるには非ず」とあり、「古今著聞集‐一七」には、古狸が人を化かす話が四話おさめられている。
 
③一方、「佯(いつはり)眠を俗にたぬきねふりといふ。本草にいふ狢睡也」〔倭訓栞〕とある「狸寝入り」をはじめ「狸の腹鼓」「狸の金玉」などの表現に見られるように、同じく人をだますといわれる狐よりもユーモラスなイメージを持ち、「狸(タヌキ)は狐と違ひ人を威す耳。不〓為〓怨(あた)」〔譬喩尽‐三〕ともいわれる。

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