たんざく【短冊/短籍/短尺】

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数え方(読み方)・単位

一枚 (いちまい) 、一葉 (いちよう)

解説

意味

①字を書いたり、物の標(しるし)に付けたりなどする小さく細長い紙。たんじゃく。

*霊異記〔810〜824〕中・二八「門の椅(はし)の所に銭四貫有り。短籍(たんざく)を著けて、注して謂はく、大安寺の大修多羅供の銭といふ」
*宇津保物語〔970〜999頃〕祭の使「日に一度たんざくを出して一笥(ひとけ)の飯を食ふ。院司かいとり『藤英がはてへのひねり文』と笑はれ、博士達にいささか数まへられず」
*枕草子〔10C終〕三一四・僧都の御乳母のままなど「これは、なにの御たんざくにか侍らん。物いくらばかりにかといへば、ただ読めかしといふ」
*鎌倉殿中以下年中行事〔1454か〕正月二三日「引付衆以下へは皆以短冊を被触之」
*蔭凉軒日録‐長享三年〔1489〕七月二一日「相公曰、此間単尺に出つけぬ事ならは、今更訴訟は無謂思食」
*京都新聞‐三三号〔1872〕七月「幼稚の子女竹竿に色々の短冊を付」
 
②和歌や俳句などを書く細長い料紙。寸法は流派により異なるが、ふつうは縦一尺一寸五分(約三五センチメートル)、幅一寸八分(約六センチメートル)。たんじゃく。

*正徹物語〔1448〜50頃〕上「やがて懐帋短冊もかいまくり置きて、心得られねどもおけば、我歌の位のあがることも有るまじき也」
*虎明本狂言・萩大名〔室町末〜近世初〕「『あのびらびらとするは何ぞ』『たんざくでござる』」
*読本・椿説弓張月〔1807〜11〕残・五七回「下枝の花は、六英(むふさ)なるが衰凋(しぼ)み、上なる二つはいまだ開かず。なほうちかへしてながめ給ふに、ささやかなる短冊(タンザク)を著(つけ)たり」
 
③和歌などを細長い料紙に書き、批評しあって遊ぶこと。また、その会やその和歌。たんじゃく。
*藤河の記〔1473頃〕「十三日、正法寺にて短冊の評あり」
*御湯殿上日記‐文明一一年〔1479〕九月九日「御歌二しゆのたゐにて、ないない、とさまのおとこ入られて御たむさくかさねらるる」
 
④寺院の論義法要で問答の内容を記した紙、または木札。たんじゃく。
*醍醐寺新要録〔1620〕「聖得業記云、次短冊はさむことは、東大・興福各別也」
 
⑤江戸時代通用の一分金の俗称。一分金はすべて長方形なので、俗にしゃれて呼んだもの。短冊一分。
*洒落本・風俗砂払伝〔1780〕「三徳より小判一両取出し〈略〉『おやおやついぞねヱたんざくとは何のこって御せへやす』『はてさて小粒のこっちゃはへ、身共が国ではかく言はへ』」
 
⑥「たんざくがた(短冊形)」の略。
*古今料理集〔1670〜74頃〕五「たんさく 大中小 図に印 たんたんをよく見分専一也」
*雑俳・へらず口(不及子編)〔1734〕上「大根も短冊に切れ歌の宴」
 
⑦「たんざくばこ(短冊箱)」の略。

語源

①古く、諸司諸国の官人を任ずる除目や、位階昇進の手続きである定考(こうじょう)及び擬階奏(ぎかいのそう)において、短冊に、叙位・昇進すべき人の名前を書いて、官ごとにこよりで綴じ、重ねて箱に入れた。「延喜式‐一九・式部」によれば、擬階奏の場合、これを「成選短冊」と称した。
 
②困窮者に米塩を支給する賑給(しんごう)、別名賑恤(しんじゅつ)において、数量を記入した短冊を現物と引き替える、といったような用途にも使われた。更に、吉凶を占う際のくじの料紙、あるいは、和歌・漢詩を書くための料紙、また、今日の付箋に相当するもの等、種々の用途に当てる、細長く切った紙を、総じて「短冊」と称した。

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