たんぜん【丹前】

《スポンサードリンク》
 

数え方(読み方)・単位

一枚(いちまい)

解説

綿を入れた厚手の着物の一種で、「枚」で数えます。
⇒きもの(着物)

意味

①江戸時代、丹前風呂へ通った町奴。また、その風俗や伊達姿(だてすがた)をいう。
*歌謡・松の葉〔1703〕四「丹前清玄」
*随筆・八十翁疇昔話〔1716頃か〕「今に何にてもはでなる風を丹前(タンゼン)と云」
*随筆・むかしむかし物語〔1732頃〕「昔松平丹後守上屋鋪前に、町屋風呂おびただしく有、美麗を尽し、風呂女とて遊女多く有しが、貴賤諸人入込み、度々喧嘩口論有〓之故、御法度に成しとかや、其時よろづ風呂へかよふ歌舞伎どもを、異名に丹前と云、丹後守前と云心なり」
 
②「たんぜんぶし(丹前節)」の略。
*仮名草子・東海道名所記〔1659〜61頃〕二「たんぜんとかやいふ曲節(ふし)なりとて、ただああああと、ながたらしくひきづりたるばかり也」
*随筆・守貞漫稿〔1837〜53〕二二「昔は丹前の小唄と云てあり。今も土佐節の節付に六法とあるはこの小唄の節なり」
 
③雪駄(せった)の鼻緒の一つ。丹前姿の人が多く用いたもの。
*評判記・色道大鏡〔1678〕二「雪駄の鼻緒には、すり緒・ほそ緒・つぶねぢ・よしはら・二つねぢ・みつねぢ・丹前(タンセン)・生かけず・くりかけずなどとて、さまさま付来りぬれど」
 
④「たんぜんろっぽう(丹前六法)」に同じ。
*雑俳・柳多留‐五〔1770〕「たんぜんは何もないのにむすぶやう」
*歌舞伎・御摂勧進帳〔1773〕五立切「丹前の出になり、花道より八重平・八重助、対の奴にて出」
*役者論語〔1776〕佐渡島日記「六法といふ風俗(なり)は〈略〉江戸さんちゃ通ひの風俗をして見せけるより起りけるとなん。江戸にては丹前(タンゼン)といひ、大坂にては出端(では)といふ」
 
⑤歌舞伎で、吉原通いの丹前姿の出(で)や丹前六法の際などに用いる、三味線入の合方(あいかた)。
 
⑥防寒着の一種。厚く綿を入れた広袖(ひろそで)風のもので、衣服の上に着るもの。「丹前姿」から起こったという。上方の風俗。また、一九世紀以降上方風俗が江戸に移り、「どてら」をも称するようになった。《季・冬》
*雑俳・桜の実〔1767〕「丹前で来ると蔵宿うんざりし」
*随筆・守貞漫稿〔1837〜53〕一三「丹前 〈京阪の服名、どてら、江戸の服名也。ともに下民の略服也〉〈略〉丹前と云どてらと云服、寒風の時専ら衣服の表に重ね着し、或は帯後にはをる」
*虞美人草〔1907〕〈夏目漱石〉三「貸浴衣の上に銘仙の丹前(タンゼン)を重ねて」

《スポンサードリンク》
 



数え方人気 [TOP50]ビジネス文書数え方
季節用語の数え方名数一覧(1~100)