*はじめに
昨今、世界的トッププレイヤー・錦織 圭選手の活躍は、度ある毎にニュースなどでも取り上げられ、あまりテニスに興味のなかった人でも注目してしまうことでしょう。
そんな中、「あんなふうにテニスをやってみたい!」と思っても、先ずは何から準備していいのか判らなければ折角の思いも台無しです。あるいは、プレイまではしなくても、基本ルールだけでも知っておきたいところです。
そこで、全くの初心者であっても気軽にテニスを解るように、ポイントごとに分けてご案内してみたいと思います。
*プレイにはまず準備
お好みのテニスコートを確保しても、「ラケット」、「ボール」および「シューズ」の3点は最低限でも準備する必要があります。
もちろん、どれもお好みで構いませんが、ラケットは、くれぐれも使用するボールの種類に対応するものを準備します。
例えば、軟式用ラケットで硬式ボールを使用したりすると、ガット(ラケットに張ってある網状の弦)が不用意に切れてしまったり、その他の事故原因にもなりかねません。
また、コートの状態は、プレイやボールの弾み方にも影響を及ぼします。
この点、赤土(アンツーカー)を使用したクレーコートなどは、プレイによって容易に地面が削れてしまい、デコボコでイレギュラーの多い状態になりがちです。
従って、アフターメンテナンスやマナーの点からも、使用するコートに合わせたテニスシューズは準備したいものです。
ちなみに、テニスの硬式ボールは、新しいほどよく弾んで手触りも柔らかく、その反面、使っていると徐々にボールを覆う毛の部分も磨耗して弾みにくくなります。
*「シングルス」と「ダブルス」
テニスの試合のことを「マッチ」といいます。
マッチには、1対1で行う「シングルス」と、2対2で行う「ダブルス」があります。
シングルスとダブルスでは、使用するテニスコートの有効範囲が異なります。
横線の「サービスライン」(サーブするボールの有効となるライン)と「ベースライン」(エンドライン)はどちらの場合も同じになりますが、縦線の「サイドライン」は左右に2本ずつあり、外側のラインまでがダブルスで有効になり、内側のラインまでがシングルスで有効な範囲となります。
ちなみに、ボールがラインの外に出るとアウトになりますが、ライン上に僅かな部分でもボールの痕跡が重なっていれば、オン・ザ・ラインとして有効に取扱われます。
*ポイントのカウント・基本知識
テニスの得点は、他のスポーツなどとは大きく異なり、以下のようにカウントします。
- 0ポイントなら、「0(ラブ)」。
- 1ポイントなら、「15(フィフティーン)」。
- 2ポイントなら、「30(サーティー)」。
- 3ポイントなら、「40(フォーティー)」
この数え方は、アナログ時計の文字盤を基に考案されたもので、1時間の1/4にあたる15分ずつ針が進むイメージだそうですが、3ポイント目が本来は「45」であるところ、「フィフティー・ファイヴ」と読み上げるのは語呂も悪いという理由から、「40(フォーティー)」とカウントするようになったそうです。
*テニスは「サーブ」から始まる
まず、「サーバー」(サーブする人)は、「センターマーク」(ベースラインの真ん中にある印)の自分からネット側を見て右側「デュースサイド」のベースライン外側から、ネットを挟んで対角(センターラインより向かって左側)にある「サービスコート」範囲内にボールをノーバウンドで打ち込みます。
レシーバーは、有効なサーブのボールを1バウンド以内にサーバー側のコートへ打ち返します。
サーブボールを打ち返されたサーバーは、自陣のコート内に来た有効なボールをワンバウンド以内に打ち返します。
このようにして通常は何度かの「ラリー」(打ち合い)の結果、どちらかにポイントが入ります。
その後、サーバーは、先ほどサーブを行ったデュースサイドとは反対の、左側「アドバンテージサイド」のベースライン外側から対角のサービスコート範囲内にノーバウンドで打ち込んで、レシーバーが前述同様に打ち返します。
以降は、どちらかが4ポイント先取してサーブ権が移動するまでの間、サーバーは前述の手順で右側、左側と交互にサーブを打ち続けます。
*サーブの失敗とノーカウント
サーブでは、以下の状況が「フォールト」(失敗)になり、2回の累積「ダブルフォールト」でレシーバー側に1ポイントが入ります。
- サーブのモーションに入り、ボールを投げ上げて(トスして)地面に落下するまでの間に打たない(空振りなどで打てない)。
- サーブしたボールがネットを越えるまでに、ワンバウンド以上してしまった。
- サーブしたボールがネットに引っかかった(「レット」という)上、対角のサービスコートに入らなかった。
なお、ここで注意したいのは、サーブしたボールがネットに引っかかった上で、対角のサービスコート内に入った場合です。
この場合は、ノーカウント扱いとなって、もう一度サーブを打ち直しできます。
*「ゲーム」で勝って、「セット」を取る
ここまで来たら、じゃんけんなど然るべき方法でサーブ権を決めてマッチを始めてみましょう。
サーブ権とサーブの方法、得点の数え方などは前述のとおりです。
どちらかが4ポイントを先取すると、「1ゲーム」を取ります。
相手に2ゲーム以上の差をつけて6ゲームを先取すると、「1セット」を取ります。
テニスは通常、3セットマッチか5セットマッチで行われ、それぞれ2セットまたは3セットを先取した方が勝者となります。
*勝敗の行方を担う「キープ」と「ブレイク」
予備知識として、サーブを行うゲームについて、そのゲームを取ることを、(サービスゲームの)「キープ」といいます。
反対に、そのゲームをレシーバー側が取ることを、(サービスゲームの)「ブレイク」といい、サーバー側が取るゲーム数で不利になる原因にもなります。
つまり、レシーバー側がブレイクをすることによってゲーム差が開く可能性があるため、サーバー側はできる限りキープを目指す必要があります。
*一進一退の攻防「デュース」
ここで一つ重要なことは、1ゲームの中で獲得したポイントが40対40になった状況を「デュース」といいます。
この場合は、以降に2ポイントの差がつくまで攻防を続けます。
因みに、デュース以降にポイントを数える場合は、先取した1ポイント目を「A(アドバンテージ)」と数えますが、再びポイントが並ぶとデュースになります。
*「タイブレイク」って何なの?!
最後に、前述のとおり、「2ゲームの差をつけて6ゲームを先取すると1セットを取る」のですが、どちらかが先に6ゲーム先取したとしても、6対5で2ゲーム先取できていない場合も考えられます。
そこで、この流れで引き続いて6対6となった場合、一進一退の攻防を際限なく促すのではなく、「タイブレイク」というゲームに入り、7ゲーム目を先取した方がゲームを制してセットを取れるシステムがあります。
そこで、このゲームは、「2ポイントの差をつけて7ポイント先取」または「ポイント6対6からの2ポイント連取」を勝利条件とします。
また、このゲームの進め方については先ず、このセットで最初のサーブ者がデュースコート側からサーブを1本打ち、続いて相手側にサーブ権が移って以降は、アドバンテージコート側とデュースコート側の2本ずつをそれぞれが打ってゆきます。
ちなみに、最終セットに限ってはタイブレイク制を採用しない公式大会も多く、その場合は、際限なくどちらかが2ゲーム先取するまで攻防を繰り広げられるわけです。